2013年05月31日

人身傷害補償保険とは何ですか(交通事故)。



日本の自動車保険は、強制保険である自賠責保険と、その上積み保険である任意保険の2階建てになっています。
自賠責保険は被害者に重大な過失がない限り満額が支払われますが限度額があります(死亡の場合3000万円等)。
上積み部分の任意保険は加害者が加入していない場合もあり、任意保険に加入していても被害者に過失があるとして過失相殺の主張がされて損害全額の賠償を受けられないことがしばしばあります。
(諸外国の自動車保険制度の中には強制保険の限度額が無制限である国も多数あります)
人身傷害補償保険は、上記のような日本の自動車保険制度の問題に対応する保険商品として、1998年から損害保険各社が発売し始めたものです。その特徴の第1は、被害者の過失相殺を問うことなく、定額給付式の傷害保険に準じて被害者(被保険者)に損害保険給付をすることです。
第2の特徴は、人身傷害補償保険の支払いの対象となる被保険者を、自動車保険の対象の自動車の所有者(記名被保険者)だけでなく、その配偶者、夫婦の同居の親族、夫婦の別居の未婚の子、親族以外の車の同乗者にまで拡張していることです。
第3の特徴は、人身傷害補償保険でカバーされる事故としては、人身傷害補償保険に加入している所有者の車に被保険者が同乗中の事故だけでなく、単なる歩行中の事故や他車に同乗中の事故にも拡張していることです。
第4の特徴は、自賠法3条但し書の無責3条件の立証がされた場合や被害者の他人性が認められない場合(被害者が自動車の共同運行供用者である場合等)など、従来型の自動車保険では担保範囲から除かれていた危険をカバーしていることです。

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2013年05月30日

特別受益の金額は、いつの時点で評価すればいいのですか(遺産分割)

 特別受益が認められる場合、その金額の評価をどの時点を基準時とするかについては、相続開始時とする考え方と遺産分割時とする考え方とがあり得ます。
 家庭裁判所での実務上は、相続開始時を基準時として評価することとされています。
 一方、遺産分割に際して遺産がいくらあってそれを具体的相続分に従ってどのように分割するか、代償金をいくらにするかという算定は、相続開始時ではなく遺産分割時の評価によっています。
 そのため、特別受益や寄与分が認められる場合には、理論的には、相続開始時の評価と、遺産分割時の評価との両方が必要になることになります(相続開始時と遺産分割時が近い場合には、あえて両時点の評価までしなくてもよいと当事者が合意する場合も多い)。

 特別受益の評価について、具体的には次のような問題があります。
 @金銭
  贈与時の金額を相続開始時の貨幣価値に換算します。
  換算の基準としては、総務省統計局の消費者物価指数を用いるのが一般的です。
 A不動産、有価証券、ゴルフ会員権など
  価格の変動が経済情勢によるこれらの財産については、原則として贈与された財産の相続開始時点における時価によります。
 B不動産取得のための金銭の贈与
  原則として@の金銭の贈与として評価しますが、場合によっては不動産自体の価格による場合もあります。
 C贈与目的物が滅失した場合
  受贈者の行為によって滅失又は価格の増減があった場合は、原状のままであるものとみなして算定することとされています(民法904条)。
  天災とか不可抗力によって滅失や価格の減少があった場合は、特別受益は無いものとして、又は減少した価格で評価することになります。

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2013年05月29日

住所だけでなく勤務先も不明の被告に対する訴訟(民事訴訟一般)

氏名と勤務先がわかっていれば、被告の特定はできています。
しかし、インターネット上での不法行為など、相手方のインターネット上での名称はわかっているが、住所、勤務先や事務所はわからないという場合はどうすれば良いのでしょうか。

このような場合は、弁護士会照会制度やプロバイダ責任制限法による発信者情報開示請求によってプロバイダに対して、発信者情報開示を求めることが考えられます。

ただし、弁護士会照会には強制力がなく、発信者情報開示請求はインターネット上の情報がプライバシー、名誉棄損などの明確な権利の侵害にあたる場合でなければ情報が開示されない場合があります。

そのような場合、住所不明、氏名「●●●●」として訴訟を提起し、同時に調査嘱託の申し立てをして、被告の住所などを裁判所から問い合わせてもらうという方法が考えられます。

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2013年05月28日

各種、送達の順番を教えてください(民事訴訟一般・本人訴訟)


質問
 本人訴訟を行っています。
 被告が訴状を受け取らない場合、各種の送達を順番に使っていくことになると思います。その手順を教えてください。
 被告の勤務先は判明していますが、住所は不明です。

答え
 まず、住所が不明であることを住民票、戸籍附票、調査報告書等で説明して、就業場所での送達をしてもらいます(民訴103条2項)。

 就業場所で従業員など書類の受領について相当のわきまえのある者が書類の交付を受けることを拒まないときは、有効な送達になります(民訴106条2項)。

 就業場所での送達ができない場合、就業場所にあてて付郵便送達をすることはできません(民訴107条1項参照)。就業場所は、そもそも二次的な送達場所であり、かつ、プライバシー保護の観点から補充送達受領資格者に差置送達をすることはできないとされる場所であるので、就業場所に付郵便送達を認めることは相当でないからです。

 就業場所への送達が受領拒絶等によって送達できなかった場合は、公示送達によることになります(民訴110条1項2号)

 要するに、最終的には公示送達ができます。


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2013年05月27日

弁護士保険の販売開始

 2013年5月27日、プリベント少額短期保険は、弁護士費用保険「MIKATA(ミカタ)」の新商品発表会を行いました。

 5月下旬から販売を開始し、初年度は1万5000件ほどの契約を見込んでいるということです。

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被相続人が、株式会社の株式、有限会社の出資持分、合名会社の社員権を持っていました。これらは遺産分割の対象になりますか(遺産分割)。

 株式会社の株式(有限会社の出資持分も同じ)は、銀行預金のような可分債権ではありません。
 遺産分割がなされるまでは共同相続人が準共有する状態であり、遺産分割協議、調停や審判によって遺産分割の対象とする必要があります。最高裁昭和45年1月22日判決は、「株式を相続により準共有するに至った共同相続人は、商法203条2項(注・現会社法106条)の定めるところに従い、当該株式につき株主の権利を行使すべき者一人を定めて会社に通知すべき」としており、遺産分割がなされるまでは、その口数にかかわらず、株式(持分)全部について相続により準共有状態となっていることを前提としています。

 持分会社においては、社員の死亡が退社事由となっています(会社法607条1項3号)。そこで、社員が死亡により退社したときは、持分払戻請求権が相続人に帰属します。
 持分払戻請求権の価額は被相続人死亡当時の会社財産の状況に従って計算されるものであること、持分が現物で払い戻されるか金銭で払い戻されるかは会社が決定するものであることを理由に、審判例は、持分払戻請求権は遺産分割前に当然に分割して取得されるものではないと判断しています(東京家裁昭和34年11月19日審判)。したがって、遺産分割の対象とする必要があります。

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2013年05月26日

発信者情報開示請求の照会の通知がきました(プロバイダ責任制限法)。

質問
 契約している携帯電話会社から「発信者情報開示請求がなされた」と通知書がきました。
 ある掲示板で私の勤める会社のスレッドに私が書き込みをしたことに対してのものです。たしかに私は書き込みをしましたが、名誉棄損にあたるような内容ではないと思われます(「今月○○人辞めるらしい」のみ)。
 情報が開示されれば私の会社での立場も悪くなりますし、このような内容で個人情報が開示されるのは納得できません。
 こういった場合開示に同意しなくてもよいものなのでしょうか?開示しなかった場合はどうなるのでしょうか?
 また、もし開示した場合はどのような事態が考えられますか?
 民事訴訟、損害賠償などの事について教えていただきたいです。

回答
 開示を認めるか否かは最終的にプロバイダが任意に開示するか否か、任意に開示しない場合は裁判所が判決で開示を認めるか否かによります。
 プロバイダや裁判所が発信者情報開示を認める場合の判断の基準としては、書き込みが明らかに名誉棄損に該当し違法性阻却事由も存在しないことが必要です。
 あなたとしては、明らかな名誉棄損には該当しないし違法性阻却事由もあるということを、根拠を示して、開示に反対する意見を述べるべきです。
 今後、携帯電話会社に対する開示請求訴訟が行われたり、あなたに対する損害賠償請求訴訟に発展したり、会社から何らかの不利益処分を受ける可能性もありますから、今の段階(開示の可否の回答の段階)から弁護士に依頼することをお勧めします。
 なお、開示に反対する意見を述べた場合に、プロバイダ(携帯電話会社)が発信者情報開示請求訴訟の対応に要した費用をあなたに対して求償してくる可能性もあります。

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2013年05月25日

2013.7.2 いまなぜ96条改憲が? 安倍政権の改憲戦略と憲法96条改定のねらい

九条の会・中野の主催する憲法問題連続学習講座第16回をご案内します。

「渡辺治の憲法塾 自民党改憲草案全面批判」第2回
いまなぜ96条改憲が? 安倍政権の改憲戦略と憲法96条改定のねらい
日時  2013年7月2日(火)午後6時15分
会場  中野ゼロ小ホール
講師  渡辺治さん(元一橋大学教授)
参加費 700円

 昨年12月に発表された自民党の新憲法草案は、日本国憲法について前文から前章、全条、全項にわたって全面改悪する膨大なものとなっています。
 いま、安倍内閣のもとで、その突破口として、当面96条の改正要件緩和をめざして自民党や維新の会、みんなの党などがうごめき始めるという予断をゆるさない重大情勢を迎えています。

 こうした中で単に9条を守るというだけでなく、彼らがたくらむ憲法改悪の全内容、驚くべき危険性等を綿密に検討、掌握し広く区民に訴える力を身につけることが痛切に求められています。

 その立場から、以下のようなテーマを設定し、シリーズで5〜6回の連続講座を企画しました。全講座を通して渡辺治先生が講演します。
 称して“渡辺治憲法塾”とします。みなさんのご参加を心からお待ち申し上げます。

第3回以降の予定
 第3回 9月13日(金) 9条改憲・「戦争できる軍隊」づくりから「戦争できる国」づくりへ
              9条改憲から軍法会議、戒厳令、言論・結社統制まで
 第4回 10月初旬    自民党改正案の天皇元首化、人権条項改変のねらい
              安倍政権はなぜ天皇元首化、24条改正にこだわるのか?
 第5回 11月初旬    維新の会の改憲構想のねらい
              維新の会はなぜ、参院廃止、道州制、首相公選制を唱えるのか?
 第6回 12月初旬    憲法改悪を阻むために国民的共同を!
              憲法改悪を許さなかった運動の歴史を学ぶ

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2013年05月24日

不当解雇(整理解雇)について争うのに労働審判は適していますか(労働事件)

質問
 先月解雇(整理解雇)されました。
 不当解雇と併せて残業代の請求をするつもりです。
 整理解雇の4要件を明らかに満たしていないと思っています。
 争う手続の選択について調べてみたところ、労働審判は整理解雇には適さないという意見と、不当解雇が認められたら具体的に地位の確認(復職)の代わりに和解金(3ヶ月〜6ヶ月分の給料)などを提示してくれるという意見があり、どうしようかと迷っています。
 また、まずは会社に内容証明などで請求した方がいいのか、それともいきなり裁判などを起こしても構わないのでしょうか。
 会社に請求する場合、地位の確認ということで解雇の無効を訴えると思いますが、その場合、復職するつもりはないので最初から損害賠償(例えば請求した時点までの給料の他に何ヶ月か分の給料の請求)をしておいた方が良いのでしょうか(あるいはそういうことが可能なのでしょうか)。
 もし会社側が不当解雇は認めて復職させると言われたら、その会社に戻るつもりはない場合にはその時点までの給料の請求しかできないものなのでしょうか。

答え
 整理解雇に労働審判が使えないということはありません。金銭解決に至る割合は多いです。

 ただ、偶発的な解雇と違って整理解雇では会社も紛争が裁判所に持ち込まれる覚悟を決めて解雇しているので、労働審判での解決率は低くなる(=通常訴訟に移行する可能性が高くなる)かもしれません。

 内容証明郵便などで復職を求めるのは時間の無駄のように思われます。ただちに労働審判や仮処分や通常訴訟を提起した方が、最終的に解決する時期が早くなると思います。

 労働者が請求できるのは、解雇権濫用によって解雇が無効とされることによる地位の確認ですから、会社が復職を求めれば復職しなければなりません。会社が復職を求めているのに復職しないというわけにはいきません。そのようなケースはまれですから、復職してほしいと言われたらまれなケースにあたってしまったとあきらめて復職してください。

 解雇権濫用にあたる無効な解雇ということと、それが不法行為にあたり損害賠償責任を生じさせるということとは区別される問題です。

 解雇が無効であれば労働者としての地位があり会社に対しては給料の支払いを請求できます。
 しかし、不当解雇が不法行為にあたることを立証できても、損害として、毎月定額の給料相当額の損害賠償を請求できるわけではありません。

 弁護士の発想としては、地位確認ではなく損害賠償を請求するというのは損なやり方です。

 残業代の請求も、労働審判によっても通常訴訟によってもいずれでも請求できます。
 ただし、付加金(未払残業代と同額)の支払を命じることができるのは訴訟の判決であり、労働審判では命じることはできないとされています。付加金をどうしても得たい場合には最初から通常訴訟を提起するべきです。
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2013年05月23日

傷害事件の示談について(犯罪被害)

質問
 傷害事件の被害者です。
 刑事事件の裁判が始まっています。
 加害者の弁護人から示談の申し入れがありました。金額を提示するだけで謝罪等の言葉は一切なく、誠意が感じられないので、交渉できないと断りました。
 しかし、治療費および慰謝料は請求したいのですが、こちらからはどのようなアクションを起こせばよいでしょうか。

答え
 損害賠償命令制度を利用されると良いでしょう。
 傷害事件の刑事事件が公判請求された場合には、損害賠償命令制度(犯罪被害者保護法17条)という手続が利用できます。
 被害者から損害賠償命令の申立があり、刑事事件について有罪の判決があった場合、裁判所(刑事事件の判決をした同じ裁判所)は、損害賠償命令の申立についての審理を行います。
 審理は原則として4回以内で行われ(犯罪被害者保護法24条)、決定がなされます。

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2013年05月19日

交通事故被害の損害賠償請求の弁護士費用はどれくらいかかりますか(交通事故)


 交通事故の被害に遭われた場合、まず、自分や家族が加入している損害保険に弁護士費用等補償特約が付いていないか確認してください。

 弁護士費用等補償特約とは、自動車事故などで「人身被害事故(死亡・後遺障害・ケガによる入院、通院)を受けた場合に」、相手方(加害者)との示談交渉を弁護士に依頼する場合や、調停・民事裁判になった場合に必要な訴訟費用(弁護士費用など)の費用を負担してくれる特約のことです。
 最近では、この特約加入者は約1400万人になっています。本人だけでなく、そのご家族も特約を利用できる場合があります。

 ところが、せっかく弁護士費用等補償特約付きの自動車保険に加入しているのに、気がつかずに利用していないケースが多いようです。年間の利用件数はわずか8000件ほどにとどまっています。
 交通事故や犯罪被害などの事故に不幸にして遭遇してしまった場合は、まず、ご自身が加入している自動車保険や火災保険に弁護士費用等補償保険がついていないかをご確認ください。

 弁護士費用等補償保険付きの保険に加入していない場合、通常の民事訴訟の基準で弁護士費用をご負担いただくのが原則になります。

 但し、交通事故損害賠償請求は確実に経済的利益が見込める場合も多いので、着手時にお支払いいただく金額は少額又は無料として、損害賠償金が得られた場合に報酬金分と着手金分を併せてお支払いいただく場合もあります。
 つまり、着手時の費用は無料で受任できる場合もあります。

 また、資産収入の乏しい方の場合は、日本司法支援センター(法テラス)の法律援助を受けることもできます。

 なお、交通事故損害賠償請求が判決で認められる場合、被害者が負担する弁護士費用のうち総損害額の10%程度が損害賠償の一部として認められるのが普通です。

 日弁連は弁護士費用等補償特約付きの自動車保険を販売している損害保険会社と協定を結んで、受任弁護士の紹介なども行っています。日弁連では、「権利保護保険」という略称を用いています。日弁連の権利保護保険の担当部署であるリーガルアクセスセンター(LAC)にちなんでLAC(ラック)と称している場合もあります。
 http://www.nichibenren.or.jp/activity/resolution/lac.html
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2013年05月18日

犯罪被害に遭いました。警察に聞けば犯人の住所や氏名などを教えてもらえるのでしょうか。

1 基本的には、捜査段階で警察が被疑者の住所や氏名を教えてくれることはありません。

 もっとも、一定の事件(被害者の身体に危害を加えるなど軽微ではない事件)については、被害者に対して、「逮捕後速やかに被疑者逮捕の旨、被疑者の人定(氏名、年齢及び居住地をいう。)その他必要と認められる事項について連絡する。」とされています(各都道府県の警視庁及び道府県警が、「被害者支援実施要領」や「被害者連絡制度運用要綱」に定めています)。

 ですから、一定の事件については、被疑者本人の同意がない場合であっても、被疑者の逮捕後に、警察が被害者に対して被疑者の氏名及び住所を伝えています。

 どんな事件でも被疑者の氏名及び住所を教えているという訳ではありません。

2 公訴が提起された段階では、犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律(犯罪被害者保護法)第3条に基づいて、刑事事件が係属する裁判所に事件記録の閲覧謄写を求めることができます。

3 不起訴処分になった場合は、被害者参加対象事件については、検察官に閲覧謄写を求めれば認められる場合があります。

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2013年05月17日

被相続人が、株式会社の株式、有限会社の出資持分、合名会社の社員権を持っていました。これらは遺産分割の対象になりますか(遺産分割)。



 株式会社の株式(有限会社の出資持分も同じ)は、銀行預金のような可分債権ではありません。
 遺産分割がなされるまでは共同相続人が準共有する状態であり、遺産分割協議、調停や審判によって遺産分割の対象とする必要があります。最高裁昭和45年1月22日判決は、「株式を相続により準共有するに至った共同相続人は、商法203条2項(注・現会社法106条)の定めるところに従い、当該株式につき株主の権利を行使すべき者一人を定めて会社に通知すべき」としており、遺産分割がなされるまでは、その口数にかかわらず、株式(持分)全部について相続により準共有状態となっていることを前提としています。

 持分会社においては、社員の死亡が退社事由となっています(会社法607条1項3号)。そこで、社員が死亡により退社したときは、持分払戻請求権が相続人に帰属します。
 持分払戻請求権の価額は被相続人死亡当時の会社財産の状況に従って計算されるものであること、持分が現物で払い戻されるか金銭で払い戻されるかは会社が決定するものであることを理由に、審判例は、持分払戻請求権は遺産分割前に当然に分割して取得されるものではないと判断しています(東京家裁昭和34年11月19日審判)。したがって、遺産分割の対象とする必要があります。


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2013年05月16日

悪質な家賃滞納者に困っています(借地借家)

賃貸アパートの所有者です。
賃借人の一人が、2、3か月に一回しか家賃を払わないということを繰り返しています。
賃借人と保証人に内容証明郵便で督促状を送っても受け取りをしません。

答え
確かに、家賃の滞納金額が3か月分以内であれば契約解除が認められない場合があります。
しかし、滞納金額が3か月になることを何度も繰り返しているのであれば、十分に契約解除の理由になります。
自宅で内容証明郵便を受け取らないのであれば、勤務先に送ることもやむを得ないので認められます。
契約解除・明け渡しの訴訟を提起することをおすすめします。

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2013年05月15日

借地を解約する場合に、借地上の建物は解体して更地にして返さなければいけないのでしょうか(借地借家)

質問
 私は妻の両親と同居していますが、その建物は借地上に妻の父親が建てたものです。
 借地契約を解約して転居しようと考えているのですが、その際に、住居は解体して、更地にして地主に返却しないといけないのでしょうか。

答え
 通常、借地契約書に「契約終了の際は原状に復する」などの文言が含まれていますから、契約上、原状回復義務があるのが普通です。
 借地借家法13条に建物買取請求権という規定がありますが、「借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないとき」に行使できる権利ですから、契約期間途中で借地人の都合で解約する場合には適用されないと考えられます。
 したがって、契約上、法律上は、住居を解体して更地にして返す義務があると思います。
 原状回復義務を免除してもらえるよう、地主と交渉してください。

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2013年05月14日

労働事件の和解金には課税されるのですか(労働事件)

質問
 賃金未払いで、労働審判を起こしました。
 審判は1回で決まり、75万円の支払いで和解金という名目で受け取ることになりました。
 今は、別の職場で働いているのですが、労働審判で受け取った和解金は課税対象になるのでしょうか。

答え
 75万円程度の和解金であれば、損害賠償金の性質を有する金員と考えられますから、課税対象ではなく申告の必要もありません。
 支払った会社側がどのような経理処理をするのかは会社側が決めることなのでわかりませんが、会社がどのような処理をするかにかかわらず、労働者側としては、損害賠償金として受領したものと考えて差し支えありません。
 ただし、和解金の金額が大きく、未払賃金部分と損害賠償金部分とが区別できるような場合は、全部を損害賠償金と考えることができない場合があります。金額が大きい場合は税理士に相談してください。

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2013年05月12日

2か月後に更新時期を迎える賃貸アパートの家主から更新しないと言われました(借家)


賃貸アパートに住んでいて2か月後に更新時期を迎えるのだが、家主から突然、「更新しない。明渡しを求める」と言われた、との相談がありました。

結論から先に言うと、家主の更新拒絶は認められません。

建物の賃貸借について期間の定めがある場合、家主による更新拒絶が認められるためには、更新拒絶の意思表示が期間の満了の1年前から6か月前までの間に行われ、かつ、更新拒絶に正当事由がなければなりません(借地借家法26条、28条)。

上記の借地借家法の規定は強行規定であり、これに反する特約で賃借人に不利なものは無効です(借地借家法30条)。ですから、契約書に「家主はいつでも更新拒絶できる」といった文言があったとしても、借地借家法に違反するので無効ということになります。

家主さんに、借地借家法の定めはこうなっていますと話して、更新拒絶は認められないことを理解してもらってください。

ただし、契約が、借地借家法で厳格な要件のもとで認められている「定期建物賃貸借契約」(借地借家法38条)にあたる場合は、そもそも契約の更新はありません。ですが、ご相談の事例は定期借家契約ではなさそうですので、更新が認められます。


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posted by siinoki at 06:34| 法律相談・労働相談

2013年05月11日

しいの木通信を発行しました。

 2013年5月3日付けでしいの木通信を発行しました。
 インターネットをめぐるトラブルや交通事故にかかわる弁護士の業務についてのご案内の記事を書きました。

 依頼者・相談者・お知り合いの方に、憲法改悪に反対する署名のお願い等とあわせて、順次お送りしています。

 すでに100人を超える方から、憲法改悪に反対する署名のご返送をいただきました。
 ご協力ありがとうございます。いただいた署名は国会に届けます。

 このブログの読者の方で、しいの木通信の送付を希望される方がいらっしゃいましたら、メールなどでご住所とお名前をお知らせください。すぐにお送りします。

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posted by siinoki at 09:52| 日記

万一の交通事故のために自動車保険はどの会社を選ぶのが良いのでしょうか(交通事故)

 交通事故は加害者になる場合もありますし、被害者になる場合もあります。

 交通事故被害に遭った場合、万全の治療を行い、治療費、休業損害、慰謝料、逸失利益などの損害を全面的に賠償してもらうことが大切です。
 そのためには、事故にあったらただちに弁護士に相談・依頼することをおすすめします。

 交通事故の被害に遭った場合、弁護士費用を、自分や家族が加入している損害保険から出してもらうことができる「弁護士費用補償保険」が最近普及してきており、特約加入者が約1400万人になっています。
 弁護士費用等補償特約とは、自動車事故などで「人身被害事故(死亡・後遺障害・ケガによる入院、通院)を受けた場合に」、相手方(加害者)との示談交渉を弁護士に依頼する場合や、調停・民事裁判になった場合に必要な訴訟費用(弁護士費用など)の費用を負担してくれる特約のことです。本人だけでなく、そのご家族も特約を利用できる場合があります。
 弁護士費用等補償特約を取り扱っている保険会社の多くは、日弁連と協定を結んでおり、被害にあった場合には、日弁連のリーガルアクセスセンター(LAC)を通じて弁護士を紹介することができます。そういうわけで、弁護士費用等補償特約のことをLAC(ラック)と呼んでいる場合もあります。

 ところが、せっかくLACに加入しているのに、気がつかずに利用していないケースが多いようです。年間の利用件数はわずか8000件ほどにとどまっています。
 
 2011年8月1日現在、弁護士費用補償保険について日弁連と協定を結んでいる損害保険会社・共済協同組合は以下のとおりです。(50音順)

あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
エース損害保険株式会社
au損害保険株式会社
SBI損害保険株式会社
株式会社損害保険ジャパン
全国自動車共済協同組合連合会
ソニー損害保険株式会社
日本興亜損害保険株式会社
富士火災海上保険株式会社
三井住友海上火災保険株式会社
三井ダイレクト損害保険株式会社

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posted by siinoki at 09:45| 法律相談・労働相談

2013年05月10日

特別受益が認められるのはどのような場合ですか(遺産分割)

 特別受益の類型には、次のようなものが考えられます。

1)遺贈(民法903条)
2)婚姻または養子縁組のための贈与(民法903条)
3)生計の資本としての贈与(民法903条)
 生計の資本としての贈与に当たるか否か、しばしば問題になるものとして、次のようなものがあります。
 @学資
  学資も高等教育を受けるために支出した費用は特別受益にあたる場合がありますが、近年では高等教育が一般化しているため、親の扶養の範囲と認められる場合には特別受益にあたらない、あるいは相続人全員が同程度の高等教育を受けているような場合には持戻免除の意思表示があったと判断される場合があります。
 A不動産の贈与
 B生命保険
  生命保険について、最高裁平成16年10月29日判決は、「被相続人を保険契約者及び被保険者とし、共同相続人の一人又は一部の者を保険受取人とする養老保険契約に基づき保険金受取人とされた相続人が取得する死亡保険金請求権は、民法903条1項に規定する遺贈又は贈与に係る財産には当たらないが、保険金の額、この額の遺産総額に対する比率、保険金受取人である相続人及び他の相続人との関係、各相続人の生活実態等の諸般の事情を総合考慮して、保険金受取人である相続人とその他の相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合には、同条の類推適用により、特別受益の持戻しの対象となる」と、原則として特別受益とはならないと判断しています。
  特段の事情があるとして特別受益性を認めた裁判例に、東京高裁平成17年10月27日決定(家月58巻5号94頁)、名古屋高裁平成18年3月27日決定(家月58巻10号66頁)があります。
 C死亡退職金
  死亡退職金は遺産の前渡しと評価することは困難で、生命保険以上に、特別受益と評価することは難しいと考えられます。
 D借地権の承継や設定、相続人が底地権相当額で借地(底地)を買い受けた場合など
  審判例として東京家裁平成12年3月8日審判(家月52巻8号35頁)、東京地裁平成20年10月9日判決(判時2019号31頁)があります。
 E遺産の無償使用
  遺産である土地の上に相続人の一人が被相続人の許諾を得て建物を建て、その土地を無償で使用している場合は、使用借権が設定されている土地と評価し、使用借権相当額(更地価格の1〜3割)が特別受益と評価されるのが普通です。
  但し、場合によっては、使用借権負担による減額(使用借権相当額の特別受益の評価)を行わずに土地を更地価格で評価することもあります(土地を使用している相続人が当該土地を取得する遺産分割を成立させるような場合)。
  裁判例として、福岡高裁昭和58年2月21日決定(家月36巻7号73頁)、東京地裁平成15年11月17日判決(判タ1152号241頁)などがあります。
 F建物の無償使用
  被相続人の建物に相続人の一人が無償で居住していた場合、賃料相当額が特別受益となるという考え方と、土地の使用借権と比べると経済的価値が乏しいことなどを理由に特別受益にあたらないとする考え方とがあります。


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