2013年11月24日

支払督促と民事調停の管轄裁判所について(民事訴訟一般)

支払督促ないし民事調停の申し立てを検討しています。
相手の住所が遠方であり、出向くのは大変です。私の住所地での手続きができないでしょうか。

答え
支払督促も民事調停も相手方の住所地の裁判所が管轄します。
通常訴訟であれば、債務の履行地(通常は持参債務なので原告の住所地)の裁判所にも管轄があります。
通常訴訟を提起されるのが良いでしょう。
相手方が話し合いに応じる見込みが高い場合は、弁護士会の紛争解決センターでの話し合いを利用することも考えられます。
弁護士会の紛争解決センターには、住所地による管轄の定めはありません。 経験豊富な弁護士があっせんにあたるので、納得のできる話し合いを期待できます。
他方、解決した場合の利用の対価は、民事調停よりも高いと思います。
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しいの木法律事務所 弁護士 八坂玄功
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2013年11月21日

犯罪被害者支援のための弁護士の業務について

 犯罪被害者保護法・刑事訴訟法上の犯罪被害者参加制度などを利用して、犯罪の被害に遭われた方の支援のために、下記のような業務を弁護士が行うことができます。
 資力が一定基準以下の方は、犯罪被害者法律援助(「委託援助業務」=日弁連の事業を日本司法支援センターに委託して行っている業務)や、国選被害者参加弁護士制度を利用することもできます。

犯罪被害者の支援に関する弁護士の業務

犯罪被害者法律援助
 犯罪被害者等(生命、身体、自由又は性的自由に対する犯罪及び配偶者暴力、ストーカー行為による被害を受けた者又はその親族若しくは遺族が対象)が刑事告訴を弁護士に依頼する場合などが、援助の対象です。

犯罪被害者参加制度
犯罪被害者参加制度により、下記の刑事事件の被害者や被害者の遺族、被害者の心身に重大な故障がある場合の被害者の家族は、刑事事件の手続に直接関与することができます。
(1)故意の犯罪行為により人を死傷させた事件(殺人、傷害、危険運転致死傷など)
(2)強制わいせつ(刑法176条)、強姦(刑法176条)などの性犯罪
(3)業務上過失致死傷罪、自動車運転過失致死傷罪(刑法211条)などの犯罪
(4)逮捕・監禁罪(刑法220条)
(5)略取・誘拐・人身売買に関する犯罪(刑法224条〜227条)
(6)上記事件の未遂罪

犯罪被害者参加人制度による被害者参加人は、自ら、又は弁護士に委託して、下記のようなことを行うことができます。
(1)公判期日への出席(刑事訴訟法第316条の34)
(2)証人尋問(刑事訴訟法第316条の36)・被告人質問(刑事訴訟法第316条の37)
(3)被害者等の意見陳述(刑事訴訟法第292条の2)
(4)事実又は法律の適用についての意見陳述(刑事訴訟法第316条の38)
(5)付添や遮蔽など、参加しやすくするための措置(刑事訴訟法316条の39)

国選被害者参加弁護士制度があります
 資力が一定基準以下の被害者が被害者参加制度を弁護士に委託して利用したい場合には、国選被害者参加弁護士の選定を求めることができます(犯罪被害者保護法5条)。

犯罪被害者保護法により、公判記録の閲覧謄写ができます
 犯罪被害者、被害者の遺族、被害者の心身に重大な故障がある場合の家族は、第1回公判期日後、損害賠償請求権の行使のために必要があると認められる場合その他正当な理由のある場合に、公判継続中の訴訟記録の閲覧及び謄写ができます(犯罪被害者保護法第3条)。

民事上の争いについての刑事訴訟手続における和解(犯罪被害者保護法13条)
 公判継続中に、被告人と被害者との間で損害賠償等について示談が成立した場合に、その内容を調書に記載することにより、民事裁判上の和解と同様に、債務名義となり執行力を有するという制度が利用できます。

損害賠償命令制度(犯罪被害者保護法17条)
 一定の類型の刑事被告事件について有罪の判決があった場合、裁判所は、損害賠償命令の申立についての審理を行います。審理は原則として4回以内で行われ(犯罪被害者保護法24条)、損害賠償を命じる決定がなされます。
 決定に対して、適法な異議申立がなされた場合には、損害賠償命令の申立時に通常の民事裁判の訴えの提起があったものとみなされて、民事裁判が開始されます(犯罪被害者保護法27・28条)。また、4回以内の審理期日で終結することが困難な事件の場合は、裁判所の職権によって民事裁判に移行することになります(犯罪被害者保護法32条)

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2013年11月14日

被相続人から、相続人である子どもの配偶者(夫)に不動産が生前贈与されています。特別受益になりますか(遺産分割)

 被相続人の子どものうちの一人の配偶者に対して、被相続人が不動産を贈与していたり、家を建てるときに建築資金を贈与していたりすることはよくあることです。これが、特別受益に該当するか否かが遺産分割協議に際して問題になることがあります。
 
 この問題については、相続人本人が受益したわけではないので、原則としては特別受益に該当しないと考えられます。

 但し、例外的に、実質的には相続人本人に受益があったと判断している審判例もあります(相続人の配偶者の夫に対する贈与について福島家裁白河支部審判昭和55年5月24日家月33巻4号75頁、相続人の子に対する贈与について神戸家裁尼崎支部審判昭和47年12月28日家月25巻8号65頁)。具体的な事実関係を勘案した上で、相続人の親族への贈与や援助が相続人に対するものと実質的に異ならない特別な事由があると判断して持戻しを認めています。単に、贈与を受けた者が近親者であることだけをもって、特別受益にあたると判断したものではありません。

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2013年11月12日

交通事故被害に遭いました。有給休暇や会社の公休取得分は休業損害として請求できますか(交通事故)

質問
 交通事故の被害に遭いました。
 加害者の保険会社から休業損害証明書を記入して出してくださいと言われたが、有給休暇取得分を請求していいのでしょうか。
 事故の当日と翌日は休日でした。
 事故の翌々日から3日間は休みましたが、有給休暇を使いました。
 給料は全額支給されてます。

答え
 交通事故の治療に法律上の有給休暇を利用した場合、有給休暇分の休業損害は請求できるとするのが裁判実務・損害保険実務の取扱いです。
 治療のために有給休暇を使わなければ他で使えたはずだからです。

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2013年11月06日

支払う義務のない法外な借地更新料を請求されて困っている借地人が多い

 最近、昭和20年代や30年代頃に契約された古い借地契約が、二度目や三度目の更新の時期を迎えているようです。
 土地の更地価格の●●%等の法外な「更新料」を請求されているという相談をしばしば受けます。その内の多くのケースでは、更新料を支払う義務が全くないもののように思われます。
 
 「更新料」とは、賃貸借契約の期間が満了して契約を更新するにあたり賃借人から賃貸人に支払われる金銭のことを言います。
 しかし、この「更新料」は法律で定められたものではありません。
 また、社会的に、「更新料」を支払うのが当然であるという慣習も存在しません(最高裁昭和51年10月1日判決)。
 したがって、借地契約に「更新料」支払の義務が特に定められている場合でなければ、更新にあたって借地人が「更新料」を支払う義務はありません。

 また、借地契約書上に仮に「更新料」についての定めがあったとしても、その具体的な金額や金額の算出式が契約書で具体的に定められているケースを見たことがありません。
 「更新料」の金額や算出方法が契約上具体的に定められていない場合、「更新料」の支払義務があると判断される可能性があるとしても、その金額は当事者間での協議や第三者機関の仲裁などによって定められることになります。
 地主から請求された一方的な金額や一方的な算出方法による「更新料」を納得できないまま支払う必要はありません。

 さらに、仮に契約書上「更新料」支払義務が定められていたとしても、「合意更新」ではなく「法定更新」の場合にまで契約上の規定が適用されるか否かについては、争いがあります。
 (契約書上の)「更新料」の支払義務は、法定更新の場合には生じないとの見解が有力です(借地法に反する借地人に不利な特約は無効とされるべきであることなどが根拠とされる。東京地裁昭和48年1月27日判決、東京地裁昭和51年9月14日判決、東京地裁昭和59年6月7日判決)。

 ところで、先日、借「家」契約の更新料支払義務が有効(消費者契約法に違反しない)との判決が出ました。
 地主の中には、この判決を、借地契約の更新料の支払義務を認めたものであるかのように偽り、善良な借地人を騙して法外な更新料を請求する悪徳・強欲な者が出るかもしれません。
 借地人・借家人が自らの権利と生活を守るためには、正確な法的知識が必要です。

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2013年11月04日

未払残業代の請求のための手続(労働事件)

 未払残業代の請求をしようとする場合に、通常訴訟、労働審判のいずれの手続を利用するかが問題となります。

 残業代の支払を怠った使用者には、労基法上、労働者の請求により、未払残業代と同額の付加金を支払うべきことが定められています(労基法114条)。この付加金は、労働者の請求により、裁判所が支払を命ずることによって初めて発生するものとされており、付加金の支払いを命ずるか否かは裁判所の裁量に委ねられています。

 また、労働審判における審判委員会の審判は裁判所の判決とは異なるため、労働審判によって付加金の支払を命じることはできないと解されています。

 そこで、使用者側の悪質性等から付加金の請求が認められそうで、判決までに少々時間がかかっても構わないと労働者側が考えている事案や、「管理監督者」に該当するか否かなどの点で対立があり労働審判での妥協は望めないような事案では、最初から通常訴訟を提起することになります。

 それ以外の事案では、労働審判を利用することになります。
 例えば、労働審判の申立以前に、訴え提起前の当事者照会を利用するなどして、使用者側からタイムカードの写しを開示させるなどして、早期に実労働時間について争いがない状態にすることは可能なので、労働審判の3回以内の期日でも、十分に残業代について明確にすることは可能です。

 なお、労働審判によって残業代を請求する場合においても、申立の趣旨には、付加金を請求する旨を明記しておきます。労働審判事件が訴訟に移行した場合には、労働審判手続の申立てのときに訴えの提起があったものとみなされ、労働審判手続申立書が訴状とみなされることから、労働審判手続申立書に付加金の請求を記載しておけば、労働審判手続が訴訟に移行した場合には、労働審判手続の申立ての時点において付加金の請求をしていたものとみなされ、除斥期間との関係では、違反のあったときから労働審判手続の申立てのときまでが2年以内であればよいということになり、この点に利点があると考えられる(「労働事件審理ノート」第3版106頁)からです。
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2013年11月02日

解決金をもらって離婚を成立させた後に、不貞行為の慰謝料を請求することはできますか(民事訴訟一般・家事事件)

質問 
 妻の不貞行為などを理由に、現在離婚調停中です。
 両者とも離婚することには合意しているものの、妻が自分の不貞行為を認めていません。
 妻は、私が求めている慰謝料は支払わないが、解決金を払うから離婚をしてくれと言っています。
 もし解決金をもらって離婚を成立させたとしたら、その後から、妻の不貞行為に対する慰謝料を請求する訴訟を起こして支払わせることはできるのでしょうか?
 私としては、証拠もあるので、妻の不貞行為をはっきりさせたいと強く思っています。

答え
 解決金の支払いによって和解が成立する場合には、「和解条項で定めるものの他には両者間に債権債務が存在しないこと」を確認するのが通例です。
 つまり、解決金の受領は、相手方の不貞行為について妻に慰謝料を請求しないことを意味することになるでしょう。
 不貞相手に対しての権利を放棄したわけではないので、不貞相手に対する慰謝料請求はできると思われるかもしれませんが、不貞行為は共同不法行為ですから、共同不法行為者の一方(妻)から解決金の支払いを得れば、他方(不貞相手)の慰謝料支払い義務もなくなると解されることが多いと思います。
 ですから、不貞行為について裁判で明確にしたければ、事実をあいまいにした解決金による和解に応じるべきではなく、調停が成立しなければ訴訟を起こすべきだということになります。


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