2014年06月26日

遺産の中に賃貸不動産があります。相続開始後の賃料収入は遺産分割の対象になりますか(遺産分割)。

 遺産の中に賃貸不動産があり、相続開始後に賃料収入がある場合、相続開始後の賃料収入が遺産分割の対象財産になるかが、問題になります。

 この点については、最高裁が平成17年9月8日判決で、次のように判断しています。
「遺産は、相続人が数人あるときは、相続開始から遺産分割までの間、共同相続人の共有に属するものであるから、この間に遺産である賃貸不動産を使用管理した結果生ずる金銭債権たる賃料債権は、遺産とは別個の財産というべきであって、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得するものと解するのが相当である。遺産分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずるものであるが、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得した上記賃料債権の帰属は、後にされた遺産分割の影響をうけないものというべきである。」

 実務上は、上記判例に従って処理されていますが、相続人全員が遺産分割の対象に含めることに合意した場合には遺産分割の対象としています。
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2014年06月25日

祭祀財産とはなんですか(遺産分割)


 民法は祭祀財産を遺産分割の対象とせず、祭祀主宰者が承継すると規定しています。
 祭祀財産とは、「系譜、祭具及び墳墓」と規定されています。墓地、納骨堂、墓石、墓碑、位牌、仏壇などがこれにあたります。
 祭祀財産を所有する者が死亡した場合には、(1)被相続人の指定によって、(2)指定がない場合には慣習によって、(3)指定もなく慣習によっても明らかでない場合には家庭裁判所の指定によって、祭祀承継者が決められます。

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2014年06月19日

共有物分割とはどのような手続ですか(遺産分割等)


 遺産分割協議や審判の結果、その他様々な事情により、不動産などの財産を複数の人が共有する状態になることがあります。

 民法は、共有物の各共有者はいつでも共有物の分割を請求することができると定めています(民法256条1項本文)。

 当事者間での協議が調わないときは、各共有者は分割を裁判所に請求できます(民法258条1項)。

 裁判による分割の場合、現物分割や代償金による分割ができない場合は、競売による代金を分割することになります(民法258条2項)。

 上記の流れが、「共有不動産の分割手続(協議→訴訟→競売)」ということになります。

 この流れの中のいずれの段階でも、当事者間での合意が得られれば、競売による代金分割は避けられます。
 その合意の内容は、共有不動産の分割とは限らず、例えば、共有不動産全体を事実上使用収益している共有者が他の共有者に対して地代や家賃を支払うという合意もあり得るでしょう。
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2014年06月18日

共有物分割とはどのような手続ですか(遺産分割等)

 遺産分割協議や審判の結果、その他様々な事情により、不動産などの財産を複数の人が共有する状態になることがあります。

 民法は、共有物の各共有者はいつでも共有物の分割を請求することができると定めています(民法256条1項本文)。

 当事者間での協議が調わないときは、各共有者は分割を裁判所に請求できます(民法258条1項)。

 裁判による分割の場合、現物分割や代償金による分割ができない場合は、競売による代金を分割することになります(民法258条2項)。

 上記の流れが、「共有不動産の分割手続(協議→訴訟→競売)」ということになります。

 この流れの中のいずれの段階でも、当事者間での合意が得られれば、競売による代金分割は避けられます。
 その合意の内容は、共有不動産の分割とは限らず、例えば、共有不動産全体を事実上使用収益している共有者が他の共有者に対して地代や家賃を支払うという合意もあり得るでしょう。
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2014年06月16日

準確定申告について教えてください(遺産分割)


質問
 被相続人が亡くなった日までの所得について、準確定申告が必要だと聞いています。
 その手続きは相続放棄していた場合しなくても良いのでしょうか。それとも相続放棄にかかわりなく行わなければならないのでしょうか。

答え
 所得税法124条・125条で、申告義務があるのは相続人とされています。
 相続放棄によって、もともと相続人ではなかったことになるので、申告義務はありません。
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2014年06月15日

療養看護型の寄与分(遺産分割事件)

大阪家庭裁判所で行っていた遺産分割事件が無事解決しました。

事件の中心争点は、被相続人の近隣に住んでいた相手方が晩年10年以上にわたって療養看護をしていたとして、1億円以上の療養看護型の寄与分を主張していたという事件です。

療養看護型の寄与分が認められるための要件は、(1)被相続人との身分関係に基づいて通常期待される程度を超える特別の寄与であること、(2)寄与行為の結果として被相続人の財産を維持又は増加させていること(財産の維持又は増加との因果関係)、と言われています(片岡武他「家庭裁判所における遺産分割・遺留分の実務」238頁)。

今回の事件では、相手方が被相続人の住む同じマンションの別の部屋を購入して移り住んで、たびたび被相続人の自宅を訪問していたという事実は認められる事案だったのですが、そうだとしても、被相続人が認知症や介護を要する健康状態であったという事実がないもとでは、上記の要件の2つともに認めるに足りないと判断されたようです。

相手方が調停委員会から説得されたようで、最終的には寄与分の主張を認めることなく、和解に至ることができました。

介護保険導入後の最近の審判例では、被相続人が認知症で常時の見守りが必要な場合に相続人が介護したケースでは1日あたり8000円程度〜13000円程度の計算で寄与分を定めている事例が見られます(大阪家審平成19年2月8日家月60巻9号110頁、大阪家審平成19年2月26日家月59巻8号47頁)。

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2014年06月13日

自営業の夫が亡くなりました。寄与分は認められますか(相続・遺産分割)

質問
 個人自営業の夫が他界しました。
 配偶者である私は、26年間の労務の提供をし、そのうち15年は自宅で夫の療養看護にあたりました。
 相続の際、どれ位の寄与分が認められますか?

回答
 寄与分の計算方法について法律では細かいルールは定められていません。
 個人自営業の夫を助けて営業に専従していたのに賃金が全く支払われていない場合、裁判所は、寄与の程度を3割〜5割程度と大雑把に評価することもありますし、賃金相当額を計算して評価することもあります。
 妻に賃金が支払われていた場合は、寄与分が全く認められない場合もあります。
 療養看護の寄与分は、介護保険利用料や付き添い人を雇っていたとしたら要した費用を参考にして、1日あたり数千円の計算で寄与分が認められる可能性があります。


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2014年06月12日

寄与分とは何ですか(遺産分割)



 寄与分とは、共同相続人の中に、被相続人の財産の維持又は増加に特別の寄与(通常期待される程度を超える貢献)をした者があるときに、相続財産からその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなして相続分を算定し、その算定された相続分に寄与分を加えた額をその者の相続分とすることによって、その者に相続財産のうちから相当額の財産を取得させ、共同相続人の間の公平を図る制度です。
 寄与行為の態様には、(1)家業従事型、(2)金銭等出資型、(3)療養看護型、(4)扶養型、(5)財産管理型、(6)先行する相続における相続放棄、等の類型がみられます。

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2014年06月11日

債務者の遺留分減殺請求権を債権者が代位行使することはできますか(遺産分割・債権回収)


 原則としてできません(判例)。
 最高裁平成13年11月22日判決は、「遺留分減殺請求権は、遺留分権利者が、これを第三者に譲渡するなど、権利行使の確定的意思を有することを外部に表明したと認められる特段の事情がある場合を除き、債権者代位の目的とすることができない」としています。
 その理由として、遺留分減殺請求権は、原則として、民法423条1項ただし書きにいう『債務者の一身に専属する権利』に当たるなどとしています。
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2014年06月10日

遺留分減殺請求権の行使にはどのような手続が必要ですか(遺産分割)

まず、内容証明郵便などの証拠がのこる方法で遺留分減殺請求の意思表示をおこなうことが必要です。

 遺留分減殺請求について当事者間での協議が整わない場合、家庭裁判所で調停を行うことができます。管轄の家庭裁判所は、相手方の住所地の家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所です(家事審判規則129条)。

 家庭裁判所の調停でも合意ができない場合、最終的な解決は民事訴訟によることになります(調停を経ずにただちに訴訟を起こすこともできます)。管轄裁判所は、相続開始時の被相続人の住所地の地方裁判所か簡易裁判所です(民事訴訟法5条14号)。

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2014年06月09日

遺留分・遺留分減殺請求権とは何ですか(遺産分割)


 遺留分制度とは、被相続人が有していた相続財産について、その一定割合の承継を一定の法定相続人に保障する制度です。本来、被相続人は自己の財産を自由に処分できるはずですが、他方で、相続制度は遺族の生活保障及び遺産形成に貢献した遺族の潜在的持分の清算などの機能を有していることから、民法は、遺留分制度により、被相続人の財産処分の自由と相続人の保護の調和を図ることとしています。

 遺留分の割合は以下の通りです。
 直系尊属のみが相続人である場合 3分の1
 それ以外の場合 2分の1

なお、相続人が兄弟姉妹や兄弟姉妹の代襲相続人である甥姪の場合には、兄弟姉妹や甥姪には遺留分はありません(民法1028条)。

 被相続人が贈与や遺贈を行ったたために遺留分を侵害された相続人は、遺留分減殺請求権を行使することによって、遺留分を確保する限度で、その贈与や遺贈の効力を奪うことができます。

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2014年06月08日

相続人の一人が受取人となっている生命保険の死亡保険金は特別受益にあたりますか(遺産分割)

 保険金受取人とされた相続人が取得する死亡保険金請求権又はこれを行使して取得した死亡保険金は、原則として、特別受益にはあたりません。
 ただし、保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合には、同条の類推適用により、当該死亡保険金請求権は特別受益に準じて持戻しの対象となります(最高裁平成16年10月29日決定)。

 上記の最高裁判決後の事例として、相続開始時の相続財産の総額が1億134万円、相続人の一人が受取人の保険金が1億129万円という事案で、死亡保険金の持戻しを認めたケースなどがあります(東京高裁平成17年10月27日決定)。

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2014年06月06日

学費は特別受益に当たりますか(遺言・遺産分割)。


質問
 母が亡くなりました。相続人は姉二人と私(長男)の3名です。
 長女は短大卒業後に4年制の私大に進学、私は4年制の私大に進学後に資格試験の専門学校に進学、二女は4年制の私大に進学(但し学費は他の二人の進学した私大の約2倍)しています。
 特別受益はどのように計算したらよいですか。

答え
 結論としては、特別受益は誰にも認められないと考えます。
 裁判例は、被相続人の子が複数いていずれも高等教育を受けている場合に、子の個人差その他の事情により、その費用に多少の差が生じることがあるとしても、通常、その費用は親の子に対する扶養の一内容として支出されるもので、遺産の先渡しとしての趣旨を含まないものとして認識するのが一般的であり、仮に、特別受益と評価しうるとしても、特段の事情のない限り、被相続人の持戻し免除の意思が推定されるとしています(大阪高決平成10年12月6日家月60巻9号89頁)。

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2014年06月05日

被相続人から、相続人である子どもの配偶者(夫)に不動産が生前贈与されています。特別受益になりますか(遺産分割)


 被相続人の子どものうちの一人の配偶者に対して、被相続人が不動産を贈与していたり、家を建てるときに建築資金を贈与していたりすることはよくあることです。これが、特別受益に該当するか否かが遺産分割協議に際して問題になることがあります。
 
 この問題については、相続人本人が受益したわけではないので、原則としては特別受益に該当しないと考えられます。

 但し、例外的に、実質的には相続人本人に受益があったと判断している審判例もあります(相続人の配偶者の夫に対する贈与について福島家裁白河支部審判昭和55年5月24日家月33巻4号75頁、相続人の子に対する贈与について神戸家裁尼崎支部審判昭和47年12月28日家月25巻8号65頁)。具体的な事実関係を勘案した上で、相続人の親族への贈与や援助が相続人に対するものと実質的に異ならない特別な事由があると判断して持戻しを認めています。単に、贈与を受けた者が近親者であることだけをもって、特別受益にあたると判断したものではありません。
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2014年06月04日

特別受益の金額は、いつの時点で評価すればいいのですか(遺産分割)



 特別受益が認められる場合、その金額の評価をどの時点を基準時とするかについては、相続開始時とする考え方と遺産分割時とする考え方とがあり得ます。
 家庭裁判所での実務上は、相続開始時を基準時として評価することとされています。
 一方、遺産分割に際して遺産がいくらあってそれを具体的相続分に従ってどのように分割するか、代償金をいくらにするかという算定は、相続開始時ではなく遺産分割時の評価によっています。
 そのため、特別受益や寄与分が認められる場合には、理論的には、相続開始時の評価と、遺産分割時の評価との両方が必要になることになります(相続開始時と遺産分割時が近い場合には、あえて両時点の評価までしなくてもよいと当事者が合意する場合も多い)。

 特別受益の評価について、具体的には次のような問題があります。
 @金銭
  贈与時の金額を相続開始時の貨幣価値に換算します。
  換算の基準としては、総務省統計局の消費者物価指数を用いるのが一般的です。
 A不動産、有価証券、ゴルフ会員権など
  価格の変動が経済情勢によるこれらの財産については、原則として贈与された財産の相続開始時点における時価によります。
 B不動産取得のための金銭の贈与
  原則として@の金銭の贈与として評価しますが、場合によっては不動産自体の価格による場合もあります。
 C贈与目的物が滅失した場合
  受贈者の行為によって滅失又は価格の増減があった場合は、原状のままであるものとみなして算定することとされています(民法904条)。
  天災とか不可抗力によって滅失や価格の減少があった場合は、特別受益は無いものとして、又は減少した価格で評価することになります。
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2014年06月03日

特別受益が認められるのはどのような場合ですか(遺産分割)


 特別受益の類型には、次のようなものが考えられます。

1)遺贈(民法903条)
2)婚姻または養子縁組のための贈与(民法903条)
3)生計の資本としての贈与(民法903条)
 生計の資本としての贈与に当たるか否か、しばしば問題になるものとして、次のようなものがあります。
 @学資
  学資も高等教育を受けるために支出した費用は特別受益にあたる場合がありますが、近年では高等教育が一般化しているため、親の扶養の範囲と認められる場合には特別受益にあたらない、あるいは相続人全員が同程度の高等教育を受けているような場合には持戻免除の意思表示があったと判断される場合があります。
 A不動産の贈与
 B生命保険
  生命保険について、最高裁平成16年10月29日判決は、「被相続人を保険契約者及び被保険者とし、共同相続人の一人又は一部の者を保険受取人とする養老保険契約に基づき保険金受取人とされた相続人が取得する死亡保険金請求権は、民法903条1項に規定する遺贈又は贈与に係る財産には当たらないが、保険金の額、この額の遺産総額に対する比率、保険金受取人である相続人及び他の相続人との関係、各相続人の生活実態等の諸般の事情を総合考慮して、保険金受取人である相続人とその他の相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合には、同条の類推適用により、特別受益の持戻しの対象となる」と、原則として特別受益とはならないと判断しています。
  特段の事情があるとして特別受益性を認めた裁判例に、東京高裁平成17年10月27日決定(家月58巻5号94頁)、名古屋高裁平成18年3月27日決定(家月58巻10号66頁)があります。
 C死亡退職金
  死亡退職金は遺産の前渡しと評価することは困難で、生命保険以上に、特別受益と評価することは難しいと考えられます。
 D借地権の承継や設定、相続人が底地権相当額で借地(底地)を買い受けた場合など
  審判例として東京家裁平成12年3月8日審判(家月52巻8号35頁)、東京地裁平成20年10月9日判決(判時2019号31頁)があります。
 E遺産の無償使用
  遺産である土地の上に相続人の一人が被相続人の許諾を得て建物を建て、その土地を無償で使用している場合は、使用借権が設定されている土地と評価し、使用借権相当額(更地価格の1〜3割)が特別受益と評価されるのが普通です。
  但し、場合によっては、使用借権負担による減額(使用借権相当額の特別受益の評価)を行わずに土地を更地価格で評価することもあります(土地を使用している相続人が当該土地を取得する遺産分割を成立させるような場合)。
  裁判例として、福岡高裁昭和58年2月21日決定(家月36巻7号73頁)、東京地裁平成15年11月17日判決(判タ1152号241頁)などがあります。
 F建物の無償使用
  被相続人の建物に相続人の一人が無償で居住していた場合、賃料相当額が特別受益となるという考え方と、土地の使用借権と比べると経済的価値が乏しいことなどを理由に特別受益にあたらないとする考え方とがあります。

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2014年06月02日

特別受益とは何ですか(遺産分割)

 共同相続人の中に、被相続人から遺贈を受けたり、生前に贈与を受けたりした者がいる場合、共同相続人間の公平を図るために、遺贈や贈与を相続分の前渡しと評価して、計算上贈与を相続財産に加算して(「持戻し」と言います。)、各相続人の相続分を算定することにしています。民法903条の特別受益の規定です。

 「みなし相続財産」
 相続開始の時に有していた積極財産(債務を控除しない財産)の額に、相続人が受けた贈与の額を加算したものを「みなし相続財産」と呼びます(「遺贈」は相続開始時に現存する相続財産に含まれているので加算の必要がありません)。
 
 みなし相続財産を基礎にして、各共同相続人の相続分を乗じて各相続人の相続分(一応の相続分)を算定し、特別受益を受けた者については、この額から特別受益額を控除し、その残額をもって特別受益額が現実に受けるべき相続分(相続開始時点での具体的相続分)を確定します。

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2014年06月01日

相続人の一人が海外に住んでいます。遺産分割協議はどうすればよいでしょうか(相続・遺産分割)。


 遺産分割協議そのものは、手紙、電話、電子メール、ファックスなどで行うことができますが、不動産の相続登記などが必要な場合は協議の結果を遺産分割協議書として作成する必要があります。
 遺産分割協議書には、相続人全員が署名と押印(実印)をして印鑑証明書を添付する必要があります。
 海外に住んでいる人は、領事館で印鑑登録をするか、領事館で署名証明書を発行してもらい印鑑証明書に代えることになります。
 海外にいる相続人が日本人ではない場合には、現地の公証人から署名証明書を発行してもらうなどの手続きをとることになります。
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