2014年06月04日
特別受益の金額は、いつの時点で評価すればいいのですか(遺産分割)
特別受益が認められる場合、その金額の評価をどの時点を基準時とするかについては、相続開始時とする考え方と遺産分割時とする考え方とがあり得ます。
家庭裁判所での実務上は、相続開始時を基準時として評価することとされています。
一方、遺産分割に際して遺産がいくらあってそれを具体的相続分に従ってどのように分割するか、代償金をいくらにするかという算定は、相続開始時ではなく遺産分割時の評価によっています。
そのため、特別受益や寄与分が認められる場合には、理論的には、相続開始時の評価と、遺産分割時の評価との両方が必要になることになります(相続開始時と遺産分割時が近い場合には、あえて両時点の評価までしなくてもよいと当事者が合意する場合も多い)。
特別受益の評価について、具体的には次のような問題があります。
@金銭
贈与時の金額を相続開始時の貨幣価値に換算します。
換算の基準としては、総務省統計局の消費者物価指数を用いるのが一般的です。
A不動産、有価証券、ゴルフ会員権など
価格の変動が経済情勢によるこれらの財産については、原則として贈与された財産の相続開始時点における時価によります。
B不動産取得のための金銭の贈与
原則として@の金銭の贈与として評価しますが、場合によっては不動産自体の価格による場合もあります。
C贈与目的物が滅失した場合
受贈者の行為によって滅失又は価格の増減があった場合は、原状のままであるものとみなして算定することとされています(民法904条)。
天災とか不可抗力によって滅失や価格の減少があった場合は、特別受益は無いものとして、又は減少した価格で評価することになります。
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