特別受益の類型には、次のようなものが考えられます。
1)遺贈(民法903条)
2)婚姻または養子縁組のための贈与(民法903条)
3)生計の資本としての贈与(民法903条)
生計の資本としての贈与に当たるか否か、しばしば問題になるものとして、次のようなものがあります。
@学資
学資も高等教育を受けるために支出した費用は特別受益にあたる場合がありますが、近年では高等教育が一般化しているため、親の扶養の範囲と認められる場合には特別受益にあたらない、あるいは相続人全員が同程度の高等教育を受けているような場合には持戻免除の意思表示があったと判断される場合があります。
A不動産の贈与
B生命保険
生命保険について、最高裁平成16年10月29日判決は、「被相続人を保険契約者及び被保険者とし、共同相続人の一人又は一部の者を保険受取人とする養老保険契約に基づき保険金受取人とされた相続人が取得する死亡保険金請求権は、民法903条1項に規定する遺贈又は贈与に係る財産には当たらないが、保険金の額、この額の遺産総額に対する比率、保険金受取人である相続人及び他の相続人との関係、各相続人の生活実態等の諸般の事情を総合考慮して、保険金受取人である相続人とその他の相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合には、同条の類推適用により、特別受益の持戻しの対象となる」と、原則として特別受益とはならないと判断しています。
特段の事情があるとして特別受益性を認めた裁判例に、東京高裁平成17年10月27日決定(家月58巻5号94頁)、名古屋高裁平成18年3月27日決定(家月58巻10号66頁)があります。
C死亡退職金
死亡退職金は遺産の前渡しと評価することは困難で、生命保険以上に、特別受益と評価することは難しいと考えられます。
D借地権の承継や設定、相続人が底地権相当額で借地(底地)を買い受けた場合など
審判例として東京家裁平成12年3月8日審判(家月52巻8号35頁)、東京地裁平成20年10月9日判決(判時2019号31頁)があります。
E遺産の無償使用
遺産である土地の上に相続人の一人が被相続人の許諾を得て建物を建て、その土地を無償で使用している場合は、使用借権が設定されている土地と評価し、使用借権相当額(更地価格の1〜3割)が特別受益と評価されるのが普通です。
但し、場合によっては、使用借権負担による減額(使用借権相当額の特別受益の評価)を行わずに土地を更地価格で評価することもあります(土地を使用している相続人が当該土地を取得する遺産分割を成立させるような場合)。
裁判例として、福岡高裁昭和58年2月21日決定(家月36巻7号73頁)、東京地裁平成15年11月17日判決(判タ1152号241頁)などがあります。
F建物の無償使用
被相続人の建物に相続人の一人が無償で居住していた場合、賃料相当額が特別受益となるという考え方と、土地の使用借権と比べると経済的価値が乏しいことなどを理由に特別受益にあたらないとする考え方とがあります。
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しいの木法律事務所 弁護士 八坂玄功
電話 03-5373-1808 FAX 03-5373-1809
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2022年03月12日
特別受益とは何ですか(遺産分割)
共同相続人の中に、被相続人から遺贈を受けたり、生前に贈与を受けたりした者がいる場合、共同相続人間の公平を図るために、遺贈や贈与を相続分の前渡しと評価して、計算上贈与を相続財産に加算して(「持戻し」と言います。)、各相続人の相続分を算定することにしています。民法903条の特別受益の規定です。
「みなし相続財産」
相続開始の時に有していた積極財産(債務を控除しない財産)の額に、相続人が受けた贈与の額を加算したものを「みなし相続財産」と呼びます(「遺贈」は相続開始時に現存する相続財産に含まれているので加算の必要がありません)。
みなし相続財産を基礎にして、各共同相続人の相続分を乗じて各相続人の相続分(一応の相続分)を算定し、特別受益を受けた者については、この額から特別受益額を控除し、その残額をもって特別受益額が現実に受けるべき相続分(相続開始時点での具体的相続分)を確定します。
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相続開始の時に有していた積極財産(債務を控除しない財産)の額に、相続人が受けた贈与の額を加算したものを「みなし相続財産」と呼びます(「遺贈」は相続開始時に現存する相続財産に含まれているので加算の必要がありません)。
みなし相続財産を基礎にして、各共同相続人の相続分を乗じて各相続人の相続分(一応の相続分)を算定し、特別受益を受けた者については、この額から特別受益額を控除し、その残額をもって特別受益額が現実に受けるべき相続分(相続開始時点での具体的相続分)を確定します。
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2022年03月11日
学費は特別受益に当たりますか(遺言・遺産分割)。
質問
母が亡くなりました。相続人は姉二人と私(長男)の3名です。長女は短大卒業後に4年制の私大に進学、私は4年制の私大に進学後に資格試験の専門学校に進学、二女は4年制の私大に進学(但し学費は他の二人の進学した私大の約2倍)しています。特別受益はどのように計算したらよいですか。
答え
結論としては、特別受益は誰にも認められないと考えます。
裁判例は、被相続人の子が複数いていずれも高等教育を受けている場合に、子の個人差その他の事情により、その費用に多少の差が生じることがあるとしても、通常、その費用は親の子に対する扶養の一内容として支出されるもので、遺産の先渡しとしての趣旨を含まないものとして認識するのが一般的であり、仮に、特別受益と評価しうるとしても、特段の事情のない限り、被相続人の持戻し免除の意思が推定されるとしています(大阪高決平成10年12月6日家月60巻9号89頁)。
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答え
結論としては、特別受益は誰にも認められないと考えます。
裁判例は、被相続人の子が複数いていずれも高等教育を受けている場合に、子の個人差その他の事情により、その費用に多少の差が生じることがあるとしても、通常、その費用は親の子に対する扶養の一内容として支出されるもので、遺産の先渡しとしての趣旨を含まないものとして認識するのが一般的であり、仮に、特別受益と評価しうるとしても、特段の事情のない限り、被相続人の持戻し免除の意思が推定されるとしています(大阪高決平成10年12月6日家月60巻9号89頁)。
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2022年03月10日
遺産の中に銀行預金と定額郵便貯金があります。これらについて遺産分割協議は必要ですか(遺産分割)
【最高裁判所の判例変更による追記があります】
銀行預金について、判例は、可分債権(民法427条)にあたり、相続により当然分割され、各共同相続人がその相続分に応じて権利を承継するとしています(最高裁昭和29年4月8日判決、最高裁昭和30年5月31日判決)。
そこで、実務上は、遺産分割協議や調停の段階では、銀行預金債権も遺産分割の対象財産とする合意をして、他の遺産とあわせて協議や調停をします。審判段階では、銀行預金は審判の対象に含まれず、各相続人が相続分に応じて権利を行使することになりますが、相続人間において預金債権を分割対象に含める旨の合意が成立すれば、合意に従い、預金債権を分割対象に含めて審理する取扱いをしているようです。
定額郵便貯金については、預け入れから10年を経過しない場合の払い戻し請求は、権利者が全員連名でしなければならないとの定めがあることから(旧郵便貯金法7条1項3号等)、銀行預金とは異なり、当然分割債権とはならない(遺産分割審判の対象となる)とされています。
追記
最高裁判所による判例の変更があり、預貯金については遺産分割の対象とされることになりました。
最高裁判所平成28年12月19日決定
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=86354
現在は遺産分割成立前の一定額の払戻制度なども設けられています。
https://www.zenginkyo.or.jp/fileadmin/res/article/F/7705_heritage_leaf.pdf
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そこで、実務上は、遺産分割協議や調停の段階では、銀行預金債権も遺産分割の対象財産とする合意をして、他の遺産とあわせて協議や調停をします。審判段階では、銀行預金は審判の対象に含まれず、各相続人が相続分に応じて権利を行使することになりますが、相続人間において預金債権を分割対象に含める旨の合意が成立すれば、合意に従い、預金債権を分割対象に含めて審理する取扱いをしているようです。
定額郵便貯金については、預け入れから10年を経過しない場合の払い戻し請求は、権利者が全員連名でしなければならないとの定めがあることから(旧郵便貯金法7条1項3号等)、銀行預金とは異なり、当然分割債権とはならない(遺産分割審判の対象となる)とされています。
追記
最高裁判所による判例の変更があり、預貯金については遺産分割の対象とされることになりました。
最高裁判所平成28年12月19日決定
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=86354
現在は遺産分割成立前の一定額の払戻制度なども設けられています。
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posted by siinoki at 01:14| 法律相談・労働相談
2022年03月09日
相続時精算課税制度を利用した贈与を受けた私は、後に、相続放棄はできるのでしょうか(相続・遺産分割)
質問
私は、父から相続時精算課税制度を利用した生前贈与を数千万円程度(父が所有していた不動産)既に受けています。
父は経営している会社が債務超過でその会社の多額の借入金の保証人になっており、会社の後継者はいません。
そこで、父に相続が生じた場合は相続放棄しようと考えていますが、相続時精算課税制度を利用している私が相続放棄することは可能でしょうか。
答え
1 相続時精算課税制度は税法上の扱いにすぎませんので、それを利用したからといって相続放棄が許されなくなるということはありません。
2 相続放棄はできますが、相続時精算課税制度を利用した生前贈与が、債権者に対する詐害行為にあたるという主張をされる可能性があります。しかし、主張が認められたとしても生前贈与によって取得した財産相当額を失うだけです(限定承認した場合と同じようなものです)し、必ず詐害行為の主張をされるというものでもありませんので、あまり心配しないでよいのではないかと思います。
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父は経営している会社が債務超過でその会社の多額の借入金の保証人になっており、会社の後継者はいません。
そこで、父に相続が生じた場合は相続放棄しようと考えていますが、相続時精算課税制度を利用している私が相続放棄することは可能でしょうか。
答え
1 相続時精算課税制度は税法上の扱いにすぎませんので、それを利用したからといって相続放棄が許されなくなるということはありません。
2 相続放棄はできますが、相続時精算課税制度を利用した生前贈与が、債権者に対する詐害行為にあたるという主張をされる可能性があります。しかし、主張が認められたとしても生前贈与によって取得した財産相当額を失うだけです(限定承認した場合と同じようなものです)し、必ず詐害行為の主張をされるというものでもありませんので、あまり心配しないでよいのではないかと思います。
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2022年03月08日
【事業者の方の顧問契約のおすすめ】
【事業者の方の顧問契約のおすすめ】
【顧問契約のメリット】
日常的に契約や業務のリーガルチェック等を基本的に顧問料の範囲内で行います。
日頃から業務内容を把握しているため緊急のトラブル等にも的確迅速に対応可能です。
訴訟手続などが必要な場合は標準的な弁護士費用から3割減額した費用としています。
内部に法務部がない中小事業者の方におすすめします。
【顧問契約の費用】
従業員の規模に応じて標準的な費用を下記の通りとしています。
従業員3人まで 月額2万円(税別)
従業員10人まで 月額3万円(税別)
従業員50人まで 月額4万円(税別)
従業員51人以上 月額5万円以上(税別)
顧問契約期間は3か月〜
【対応可能な業種】
インターネット関係、建築、労働者派遣、医療、美容、飲食、風営法関係、NPO法人、労働組合、介護保険事業者、宅地建物取引業、広告業、税理士業、スポーツ団体、芸能プロダクション(以上、これまでに顧問業務、理事、監事等として経験ありの業種)
その他の業種の場合も対応可能ですのでご相談ください。
ーー
〒165−0027 東京都中野区野方5−17−7
守屋ビル1階 しいの木法律事務所
(2019年5月より事務所移転しました)
弁護士 八坂玄功
東京弁護士会所属 登録番号27287
電話03−5373−1808 FAX03−5373−1809
メールアドレス yasaka@siinoki-law.jp
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2022年03月07日
中野区社会福祉協議会のフードパントリーのお知らせ 2022.3.26 沼袋区民活動センター
中野区社会福祉協議会のフードパントリーのお知らせ 2022.3.26 沼袋区民活動センター
https://www.nakanoshakyo.com/topics/topicdetail/index.php?p=1503
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2022年03月06日
遺産分割前の遺産(不動産の収益)の管理について
質問
父が所有している不動産の管理業務を委任されていました。自分の口座に不動産関係の収入を振り込んでもらい、そこから動産管理に必要な経費の支払い等に充てています。
このたび、父が亡くなり、相続人は私以外に兄弟姉妹がいます。
遺産分割協議で不動産の相続が決まるまで、私が不動産の管理を続けても大丈夫でしょうか。
答え
お父様とあなたの間には不動産の管理について委任契約があったと解されます。
委任契約は委任者(お父様)の死亡によって終了すると解されますが(民法653条1号)、他方で、民法654条は、委任が終了した場合において、急迫の事情があるときは、受任者は、委任者の相続人が委任事務を処理することができるに至るまで、必要な処分をしなければならない、とも定めています。
ですから、遺産分割が決まるまであなたが管理を継続することは民法654条によって定められた義務であると評価できますので何ら問題はないと思います。
もっとも、あなたによる不動産の管理に異議がある相続人がある場合には、遺産分割審判前の保全処分(家事事件手続法105条1項)の申立が行われて、財産管理者が選任されるという手続が行われる可能性はあります。
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父が所有している不動産の管理業務を委任されていました。自分の口座に不動産関係の収入を振り込んでもらい、そこから動産管理に必要な経費の支払い等に充てています。
このたび、父が亡くなり、相続人は私以外に兄弟姉妹がいます。
遺産分割協議で不動産の相続が決まるまで、私が不動産の管理を続けても大丈夫でしょうか。
答え
お父様とあなたの間には不動産の管理について委任契約があったと解されます。
委任契約は委任者(お父様)の死亡によって終了すると解されますが(民法653条1号)、他方で、民法654条は、委任が終了した場合において、急迫の事情があるときは、受任者は、委任者の相続人が委任事務を処理することができるに至るまで、必要な処分をしなければならない、とも定めています。
ですから、遺産分割が決まるまであなたが管理を継続することは民法654条によって定められた義務であると評価できますので何ら問題はないと思います。
もっとも、あなたによる不動産の管理に異議がある相続人がある場合には、遺産分割審判前の保全処分(家事事件手続法105条1項)の申立が行われて、財産管理者が選任されるという手続が行われる可能性はあります。
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相続問題ははやめに正確な知識と経験を持った弁護士にご相談ください。
遺産をめぐって「争族」といわれるような状況を起こさないためには、よく準備して遺言を作成しておくことが必要です。
しかし実際には、遺言を残さないままご家族が亡くなり、残されたご遺族が、故人が遺言を書いておいてくれればよかった、遺言を書いておくよう勧めておけばよかった、と思われるケースがたくさんあります。
遺言が無い場合、又は遺言があってもその内容が一部の相続人の遺留分を侵害している場合などは、遺産分割をめぐって相続人の間での話し合いが必要となります。
相続人同士での話し合いが困難な場合、弁護士に委任したり、家庭裁判所での遺産分割調停や遺留分侵害額請求に関する調停等を申し立て、第三者の助けを借りて、遺産分割についての合意を図ることになります。調停で折り合いがつかない場合は審判や訴訟による解決が行われます。遺言の効力が認められないとして遺言無効確認訴訟が提起されることなども生じることがあります。
家庭裁判所で取り扱われる事件の中で、遺産分割事件はもっとも困難な類型の事件だと言われています。
遺産分割事件では、相続人の範囲・相続分、遺産の範囲、特別受益、寄与分、遺産の評価、遺留分など、様々な問題が生じます。
多岐にわたる問題を円滑に解決に向けていくために、できるだけ早い段階で遺産分割について正確な知識と経験を持った弁護士に相談することをお勧めします。
しいの木法律事務所は、協力関係にある税理士さん、社会保険労務士さん、司法書士さん、宅建業者さん等と協力して、遺産相続をめぐる税金の問題や不動産登記その他の問題についても、ワンストップで対応することができます。
初回の相談料(30分程度)は無料です。
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しかし実際には、遺言を残さないままご家族が亡くなり、残されたご遺族が、故人が遺言を書いておいてくれればよかった、遺言を書いておくよう勧めておけばよかった、と思われるケースがたくさんあります。
遺言が無い場合、又は遺言があってもその内容が一部の相続人の遺留分を侵害している場合などは、遺産分割をめぐって相続人の間での話し合いが必要となります。
相続人同士での話し合いが困難な場合、弁護士に委任したり、家庭裁判所での遺産分割調停や遺留分侵害額請求に関する調停等を申し立て、第三者の助けを借りて、遺産分割についての合意を図ることになります。調停で折り合いがつかない場合は審判や訴訟による解決が行われます。遺言の効力が認められないとして遺言無効確認訴訟が提起されることなども生じることがあります。
家庭裁判所で取り扱われる事件の中で、遺産分割事件はもっとも困難な類型の事件だと言われています。
遺産分割事件では、相続人の範囲・相続分、遺産の範囲、特別受益、寄与分、遺産の評価、遺留分など、様々な問題が生じます。
多岐にわたる問題を円滑に解決に向けていくために、できるだけ早い段階で遺産分割について正確な知識と経験を持った弁護士に相談することをお勧めします。
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先妻の子の遺留分(遺産分割・遺言)
質問
私には現在の妻との間に1人、先妻との間に1人、子どもがいます。
私名義の財産(不動産屋や預貯金)を現在の妻に贈与することを考えていますが、その場合も、先妻の子に財産の8分の1の遺留分の権利があるのでしょうか。
答え
相続人となる妻への贈与ですから、先妻の子の遺留分を侵害していれば、遺留分侵害額請求権の行使の対象になる可能性があります。
遺留分侵害額請求権の行使の対象となる贈与とせずに、実質的に同じ効果(現在の妻への贈与と同じ効果)を生じさせる方法としては、生命保険契約をして死亡保険金の受取人を妻にする方法が考えられます。
弁護士に相談して見て下さい。
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私には現在の妻との間に1人、先妻との間に1人、子どもがいます。
私名義の財産(不動産屋や預貯金)を現在の妻に贈与することを考えていますが、その場合も、先妻の子に財産の8分の1の遺留分の権利があるのでしょうか。
答え
相続人となる妻への贈与ですから、先妻の子の遺留分を侵害していれば、遺留分侵害額請求権の行使の対象になる可能性があります。
遺留分侵害額請求権の行使の対象となる贈与とせずに、実質的に同じ効果(現在の妻への贈与と同じ効果)を生じさせる方法としては、生命保険契約をして死亡保険金の受取人を妻にする方法が考えられます。
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療養看護型の寄与分(遺産分割事件)
大阪家庭裁判所で行っていた遺産分割事件で寄与分が主要な争点となる事件がありました。
事件の中心争点は、被相続人の近隣に住んでいた相手方が晩年10年以上にわたって療養看護をしていたとして、1億円以上の療養看護型の寄与分を主張していたという事件です。
療養看護型の寄与分が認められるための要件は、(1)被相続人との身分関係に基づいて通常期待される程度を超える特別の寄与であること、(2)寄与行為の結果として被相続人の財産を維持又は増加させていること(財産の維持又は増加との因果関係)、と言われています(片岡武他「家庭裁判所における遺産分割・遺留分の実務」238頁)。
今回の事件では、相手方が被相続人の住む同じマンションの別の部屋を購入して移り住んで、たびたび被相続人の自宅を訪問していたという事実は認められる事案だったのですが、そうだとしても、被相続人が認知症や介護を要する健康状態であったという事実がないもとでは、上記の要件の2つともに認めるに足りないと判断されたようです。
相手方が調停委員会から説得されたようで、最終的には寄与分の主張を認めることなく、和解に至ることができました。
介護保険導入後の最近の審判例では、被相続人が認知症で常時の見守りが必要な場合に相続人が介護したケースでは1日あたり8000円程度〜13000円程度の計算で寄与分を定めている事例が見られます(大阪家審平成19年2月8日家月60巻9号110頁、大阪家審平成19年2月26日家月59巻8号47頁)。
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事件の中心争点は、被相続人の近隣に住んでいた相手方が晩年10年以上にわたって療養看護をしていたとして、1億円以上の療養看護型の寄与分を主張していたという事件です。
療養看護型の寄与分が認められるための要件は、(1)被相続人との身分関係に基づいて通常期待される程度を超える特別の寄与であること、(2)寄与行為の結果として被相続人の財産を維持又は増加させていること(財産の維持又は増加との因果関係)、と言われています(片岡武他「家庭裁判所における遺産分割・遺留分の実務」238頁)。
今回の事件では、相手方が被相続人の住む同じマンションの別の部屋を購入して移り住んで、たびたび被相続人の自宅を訪問していたという事実は認められる事案だったのですが、そうだとしても、被相続人が認知症や介護を要する健康状態であったという事実がないもとでは、上記の要件の2つともに認めるに足りないと判断されたようです。
相手方が調停委員会から説得されたようで、最終的には寄与分の主張を認めることなく、和解に至ることができました。
介護保険導入後の最近の審判例では、被相続人が認知症で常時の見守りが必要な場合に相続人が介護したケースでは1日あたり8000円程度〜13000円程度の計算で寄与分を定めている事例が見られます(大阪家審平成19年2月8日家月60巻9号110頁、大阪家審平成19年2月26日家月59巻8号47頁)。
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2022年03月05日
遺言と相続権ではどちらが効力があるのでしょうか(遺言・相続・遺産分割)
質問
遺言と相続権ではどちらが効力があるのでしょうか。
相続権があっても、遺言で相続させないと書かれた場合、相続権は消滅するのでしょうか。
答え
遺言によって法定相続分と異なる相続をさせることが可能です。
しかし、配偶者や子どもには法定相続分の2分の1の遺留分権があり、遺言によって定められた相続分が遺留分権を侵害している場合には、相続人は、遺留分侵害額請求権を行使することにより、遺留分の権利を確保することができます。
遺留分侵害額請求権の行使には、遺留分の侵害を知ったとき(相続開始時や遺言の存在がわかったとき)から1年間の期間制限があります。
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相続権があっても、遺言で相続させないと書かれた場合、相続権は消滅するのでしょうか。
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遺言によって法定相続分と異なる相続をさせることが可能です。
しかし、配偶者や子どもには法定相続分の2分の1の遺留分権があり、遺言によって定められた相続分が遺留分権を侵害している場合には、相続人は、遺留分侵害額請求権を行使することにより、遺留分の権利を確保することができます。
遺留分侵害額請求権の行使には、遺留分の侵害を知ったとき(相続開始時や遺言の存在がわかったとき)から1年間の期間制限があります。
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遺言書による登記申請(遺言・遺産分割)
質問
遺言書により、「ある不動産をすべてAという人に相続させる」とあった場合、その不動産を相続による所有権移転登記する場合、遺留分がある相続人がいた場合でもA名義ですべて登記申請できますでしょうか。
遺留分侵害額請求権がある相続人との協議が必要なのでしょうか。
答え
Aさんだけで登記できます。
他の相続人との協議は必要ありません。
なお、遺言が自筆証書遺言の場合は、家庭裁判所での検認手続が必要です。
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遺留分侵害額請求権がある相続人との協議が必要なのでしょうか。
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Aさんだけで登記できます。
他の相続人との協議は必要ありません。
なお、遺言が自筆証書遺言の場合は、家庭裁判所での検認手続が必要です。
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遺留分侵害額請求権の行使にはどのような手続が必要ですか(遺産分割)
遺留分侵害額請求について当事者間での協議が整わない場合、家庭裁判所で調停を行うことができます。管轄の家庭裁判所は、相手方の住所地の家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所です(家事審判規則129条)。
家庭裁判所の調停でも合意ができない場合、最終的な解決は民事訴訟によることになります(調停を経ずにただちに訴訟を起こすこともできます)。管轄裁判所は、相続開始時の被相続人の住所地の地方裁判所か簡易裁判所です(民事訴訟法5条14号)。
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遺留分・遺留分侵害額請求権とは何ですか(遺産分割)
遺留分制度とは、被相続人が有していた相続財産について、その一定割合の承継を一定の法定相続人に保障する制度です。本来、被相続人は自己の財産を自由に処分できるはずですが、他方で、相続制度は遺族の生活保障及び遺産形成に貢献した遺族の潜在的持分の清算などの機能を有していることから、民法は、遺留分制度により、被相続人の財産処分の自由と相続人の保護の調和を図ることとしています。
遺留分の割合は以下の通りです。
直系尊属のみが相続人である場合 法定相続分の3分の1
それ以外の場合 法定相続分の2分の1
なお、相続人が兄弟姉妹や兄弟姉妹の代襲相続人である甥姪の場合には、兄弟姉妹や甥姪には遺留分はありません(民法1028条)。
被相続人が贈与や遺贈を行ったたために遺留分を侵害された相続人は、遺留分侵害額請求権を行使することによって、遺留分を確保する限度で、その贈与や遺贈の効力を修正して遺留分に相当する額の支払いを請求することができます。
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直系尊属のみが相続人である場合 法定相続分の3分の1
それ以外の場合 法定相続分の2分の1
なお、相続人が兄弟姉妹や兄弟姉妹の代襲相続人である甥姪の場合には、兄弟姉妹や甥姪には遺留分はありません(民法1028条)。
被相続人が贈与や遺贈を行ったたために遺留分を侵害された相続人は、遺留分侵害額請求権を行使することによって、遺留分を確保する限度で、その贈与や遺贈の効力を修正して遺留分に相当する額の支払いを請求することができます。
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一筆の土地の一部の時効取得(隣地との境界をめぐる紛争) 仮処分決定に基づく分筆登記
質問
私は20数年前に前所有者から住宅用にの土地と建物を買いました。隣地との境界線上には買った時からブロック塀があり、そのブロック塀の当方側の端が隣地との境界線だと信じていました。
ところが、最近、隣地所有者が筆界確定手続の申立を行い、その調査の中で、公法上の隣地との境界線はブロック塀よりも1mほど私の自宅敷地側に入った線であるらしいということがわかりました。
隣地所有者に対して、公法上の境界線は争わないがブロック塀の内側部分を分筆して当方に売るなどして境界問題を解決するようお願いしましたが聞き入れてくれません。
どのような解決方法があるでしょうか。
答え
1 20年間、自己の所有地として占有を続けていることによって、ブロック塀の内側部分について取得時効が完成している可能性が高いです。
2 取得時効を主張して、ブロック塀内側部分の土地について所有権の移転登記を求める裁判を起こすことができます。
質問
裁判を起こしている間に隣地所有者が土地を売ってしまったらどうなりますか?
答え
隣地所有者から土地を買った買主との関係は民法177条の対抗関係となるとされています。つまり、買主が先に所有権の移転登記を得てしまうと、時効取得の主張は買主に対して対抗できません。
こうした事態を避けるためには、時効取得に基づく所有権移転登記請求権を保全するための処分禁止の仮処分を申し立てることができます。
質問
処分禁止の仮処分を得たら、登記ができるのですか?
答え
処分禁止の仮処分決定を得たら、それに基づいて法務局に、@代位による分筆登記を申請する、A分筆後の土地に処分禁止の仮処分の登記を申請する、という2段階の手続が必要になります。
ただし、分筆登記が必ず可能であるとは言い切れません(原則として分筆のためには隣地の境界全部について境界を確定して隣地の正確な測量等を行う必要があるとされているため)。しかし、仮に分筆登記に成功しなかったとしても、仮処分決定を得ていることを現地に掲示するなどすることが可能ですから、仮処分決定を得る意味はあると考えられます。
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ところが、最近、隣地所有者が筆界確定手続の申立を行い、その調査の中で、公法上の隣地との境界線はブロック塀よりも1mほど私の自宅敷地側に入った線であるらしいということがわかりました。
隣地所有者に対して、公法上の境界線は争わないがブロック塀の内側部分を分筆して当方に売るなどして境界問題を解決するようお願いしましたが聞き入れてくれません。
どのような解決方法があるでしょうか。
答え
1 20年間、自己の所有地として占有を続けていることによって、ブロック塀の内側部分について取得時効が完成している可能性が高いです。
2 取得時効を主張して、ブロック塀内側部分の土地について所有権の移転登記を求める裁判を起こすことができます。
質問
裁判を起こしている間に隣地所有者が土地を売ってしまったらどうなりますか?
答え
隣地所有者から土地を買った買主との関係は民法177条の対抗関係となるとされています。つまり、買主が先に所有権の移転登記を得てしまうと、時効取得の主張は買主に対して対抗できません。
こうした事態を避けるためには、時効取得に基づく所有権移転登記請求権を保全するための処分禁止の仮処分を申し立てることができます。
質問
処分禁止の仮処分を得たら、登記ができるのですか?
答え
処分禁止の仮処分決定を得たら、それに基づいて法務局に、@代位による分筆登記を申請する、A分筆後の土地に処分禁止の仮処分の登記を申請する、という2段階の手続が必要になります。
ただし、分筆登記が必ず可能であるとは言い切れません(原則として分筆のためには隣地の境界全部について境界を確定して隣地の正確な測量等を行う必要があるとされているため)。しかし、仮に分筆登記に成功しなかったとしても、仮処分決定を得ていることを現地に掲示するなどすることが可能ですから、仮処分決定を得る意味はあると考えられます。
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2022年03月04日
正当なストライキと民事免責
朝日新聞の本日付けの報道
「花畑牧場」(本社=北海道中札内村)で、ベトナム人従業員が起こしたストライキが波紋を呼んでいる。寮の水道光熱費値上げに抗議したものだが、会社側は労組結成前の突然の行為で「職場放棄だ」と主張。主導したとする4人に計200万円の損害賠償を求め、他の多くの従業員を出勤停止とした。
会社側の主張の骨格は、労組結成前の行為であるから、労働組合法上の正当なストライキではないというものであるように見受けられます。
しかし、団体行動権は憲法28条が保障する権利であり、労働組合法上の民事免責の効果は、憲法の趣旨に基づく確認的な規定であると解するのが通説です。最高裁判例(全逓東京中郵事件)も同じ。
労組結成前の行為であるから正当なストライキではないというのが会社側の主張だとするならば、それは大間違いだと言わざるを得ません。
「花畑牧場」(本社=北海道中札内村)で、ベトナム人従業員が起こしたストライキが波紋を呼んでいる。寮の水道光熱費値上げに抗議したものだが、会社側は労組結成前の突然の行為で「職場放棄だ」と主張。主導したとする4人に計200万円の損害賠償を求め、他の多くの従業員を出勤停止とした。
会社側の主張の骨格は、労組結成前の行為であるから、労働組合法上の正当なストライキではないというものであるように見受けられます。
しかし、団体行動権は憲法28条が保障する権利であり、労働組合法上の民事免責の効果は、憲法の趣旨に基づく確認的な規定であると解するのが通説です。最高裁判例(全逓東京中郵事件)も同じ。
労組結成前の行為であるから正当なストライキではないというのが会社側の主張だとするならば、それは大間違いだと言わざるを得ません。
2022年03月03日
インターネット上の誹謗中傷やプライバシー侵害の書き込み
質問
インターネット上に殺人予告などの書き込みをした場合に刑事事件になってすぐに書き込みをした者が特定される場合が多いようですが、誹謗中傷やプライバシー侵害などの書き込みで民事事件として弁護士に依頼した場合どのくらいの期間で特定できますか?
またどのくらいの予算で出来ますか?
答え
プライバシー侵害や名誉棄損の程度とプロバイダの発信者情報開示の姿勢によるので何とも言えません。
プロバイダが任意に開示する場合は開示請求してから一か月くらいで判明することもありますが例外的です。
多くの場合は、発信者情報開示仮処分、発信者情報開示請求訴訟が必要で、訴訟による場合は3か月くらいのこともあれば1年くらいかかることもあります。
プロバイダによって、発信者情報開示に対する対応には差がありますが、任意の開示に応じるのは、プライバシー侵害や名誉棄損の程度が高く、違法性阻却事由も認められないことが明確な場合であり、率は少ないです。
訴訟手続が必要な場合が多いでしょう。
発信者情報開示を弁護士に依頼する場合、当事務所では、例えば下記のような費用でご依頼を受けている例があります(下記は、一例で、事件の難易、請求額の多寡などによって、契約内容は異なります)。
発信者情報開示請求の仮処分及び訴訟段階 着手金330,000円
開示を受けての損害賠償請求訴訟段階 追加着手金165,000円
出廷日当 1期日あたり22,000円
報酬金 事件終了時に当事務所の報酬基準による。
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〒165-0027 中野区野方5-17-7 守屋ビル1階
しいの木法律事務所 弁護士 八坂玄功
電話 03-5373-1808 FAX 03-5373-1809
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インターネット上に殺人予告などの書き込みをした場合に刑事事件になってすぐに書き込みをした者が特定される場合が多いようですが、誹謗中傷やプライバシー侵害などの書き込みで民事事件として弁護士に依頼した場合どのくらいの期間で特定できますか?
またどのくらいの予算で出来ますか?
答え
プライバシー侵害や名誉棄損の程度とプロバイダの発信者情報開示の姿勢によるので何とも言えません。
プロバイダが任意に開示する場合は開示請求してから一か月くらいで判明することもありますが例外的です。
多くの場合は、発信者情報開示仮処分、発信者情報開示請求訴訟が必要で、訴訟による場合は3か月くらいのこともあれば1年くらいかかることもあります。
プロバイダによって、発信者情報開示に対する対応には差がありますが、任意の開示に応じるのは、プライバシー侵害や名誉棄損の程度が高く、違法性阻却事由も認められないことが明確な場合であり、率は少ないです。
訴訟手続が必要な場合が多いでしょう。
発信者情報開示を弁護士に依頼する場合、当事務所では、例えば下記のような費用でご依頼を受けている例があります(下記は、一例で、事件の難易、請求額の多寡などによって、契約内容は異なります)。
発信者情報開示請求の仮処分及び訴訟段階 着手金330,000円
開示を受けての損害賠償請求訴訟段階 追加着手金165,000円
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