2022年03月31日

有責配偶者からの離婚請求と障害のある子

質問
 夫の不倫が原因で別居して3年になります。
 別居後7から8年で有責配偶者からの離婚請求が認められると聞いています。
 私は、遺伝子病の子供(13歳)を抱えており、子供の生活に自分が合わせていかなくてはいけないので、フルに働くことができません。
 もし、後7から8年で離婚が認められてしまった場合、経済的に苦しくなると思います。
 この場合、扶養的財産分与というのは認められますか。

答え
 有責配偶者からの離婚請求が認められる場合の要件といわれている「未成熟子がない」とは、成年か未成年か、学齢期か学卒者かという形式的な基準では判断されていません。
 お子さんが遺伝子病ということですが、子どもさんが重病のため成人後も就労して自立することが困難といった事情がある場合には、お子さんが成年に達した場合であっても、「未成熟子がない」とはいえず、有責配偶者からの離婚請求が認められない可能性が十分にあります。
 ですから、「あと何年で離婚が認められる」と決めつけてしまうのではなくて、ご相談者の側が離婚に応じるつもりがないのであれば、離婚の成否を徹底的に争って、婚姻費用をきちんと負担し続けてもらうことを考えた方がよいと思います。
 裁判例としては、東京高裁平成20年5月14日判決(家裁月報61巻5号44頁)は、有責配偶者である夫からの離婚請求について、別居後15年以上経過して3人の子どもは成人しているものの、長男が身体的障害及びその生育状況に照らすと後見的配慮が必要と考えられること等を理由として、離婚請求を棄却しました。

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posted by siinoki at 08:52| 法律相談・労働相談