質問
私は20数年前に前所有者から住宅用にの土地と建物を買いました。隣地との境界線上には買った時からブロック塀があり、そのブロック塀の当方側の端が隣地との境界線だと信じていました。
ところが、最近、隣地所有者が筆界確定手続の申立を行い、その調査の中で、公法上の隣地との境界線はブロック塀よりも1mほど私の自宅敷地側に入った線であるらしいということがわかりました。
隣地所有者に対して、公法上の境界線は争わないがブロック塀の内側部分を分筆して当方に売るなどして境界問題を解決するようお願いしましたが聞き入れてくれません。
どのような解決方法があるでしょうか。
答え
1 20年間、自己の所有地として占有を続けていることによって、ブロック塀の内側部分について取得時効が完成している可能性が高いです。
2 取得時効を主張して、ブロック塀内側部分の土地について所有権の移転登記を求める裁判を起こすことができます。
質問
裁判を起こしている間に隣地所有者が土地を売ってしまったらどうなりますか?
答え
隣地所有者から土地を買った買主との関係は民法177条の対抗関係となるとされています。つまり、買主が先に所有権の移転登記を得てしまうと、時効取得の主張は買主に対して対抗できません。
こうした事態を避けるためには、時効取得に基づく所有権移転登記請求権を保全するための処分禁止の仮処分を申し立てることができます。
質問
処分禁止の仮処分を得たら、登記ができるのですか?
答え
処分禁止の仮処分決定を得たら、それに基づいて法務局に、@代位による分筆登記を申請する、A分筆後の土地に処分禁止の仮処分の登記を申請する、という2段階の手続が必要になります。
ただし、分筆登記が必ず可能であるとは言い切れません(原則として分筆のためには隣地の境界全部について境界を確定して隣地の正確な測量等を行う必要があるとされているため)。しかし、仮に分筆登記に成功しなかったとしても、仮処分決定を得ていることを現地に掲示するなどすることが可能ですから、仮処分決定を得る意味はあると考えられます。
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しいの木法律事務所 弁護士 八坂玄功
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2022年03月05日
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