2007年04月03日

「どんなひどい職場でも1年はガマンしろ」と強要する雇用保険法(失業手当)の改悪案

 国会で審議されている雇用保険法(失業手当)の改悪は重大な問題です。私は就職1年未満、6か月未満で離職した労働者から相談を受けることもしばしばありますが、失業保険の「安易な受給」を狙って離職する人などいません。
 政府や、自民党、公明党の人たちは、青年労働者の実情を知った上で「どんなひどい職場でも1年はガマンしろ」と強要しているのでしょうか。安部首相の「再チャレンジ」は、青年労働者にとっては1年に1枚しか使えないカードなのでしょうか。
 このような改悪を許せば、雇用保険法ではなく、「劣悪職場環境助長法」、「最低1年間搾取保護法」と呼ばれるようになります。

 以下、2007年4月2日(月)「しんぶん赤旗」↓から、記事の全文を引用させていただきました。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2007-04-02/2007040205_05_0.html

(以下、引用)
雇用保険法改悪案
自己都合離職の受給資格
1年働かないと得られず

--------------------------------------------------------------------------------

 参院で審議中の雇用保険改悪法案で、「国庫負担の五割削減」や「季節労働者への特例一時金削減」と並んで、これまで六カ月働くと得られた受給資格が奪われることが大きな問題点として浮上しています。


--------------------------------------------------------------------------------

 改悪案では、これまで一般労働者が自己都合で離職する場合、六カ月働くと得られた受給資格を倍の十二カ月までいきなり延長します。(解雇や倒産などによる離職は六カ月で変わりません)

実態も調べず
 「安易な給付、循環的な給付を防止する」(柳沢伯夫厚労相)というのが理由。六カ月だと安易に仕事を辞めたり、何回も給付を受ける人がいるから、一年働かないと受給資格が得られないようにするというのです。

 しかし、離職前の賃金の八割から五割しかない手当をもらうために、六カ月で仕事を辞めたり、六カ月の短期離職を繰り返す人がどれだけいるというのでしょうか。

 審議のなかで厚労省側は、受給期間一年未満の自己都合離職者が二万二千四百五十五人(二〇〇五年度)いると報告しましたが、そのうち「安易な受給者」が何人いるのか調べたこともなく、データも持っていないと答え、無責任な姿勢を浮き彫りにしました。

 自己都合で辞めた人にはもともと、三カ月たたないと給付を受けられないという給付制限がすでに設けられています。

 給付期間もこれまでの改悪によって、自己都合でない場合は、最大で三百三十日もらえるのに対し百五十日まで減らされてきました。今度は、資格要件まで差別化しようというのです。

 一年未満の自己都合の離職でも、やむをえない理由で離職する場合も少なくありません。それを「安易な離職」とみなして、二重三重に差別を加えることは、離職した人の生活を保障するという雇用保険法の原則に反しています。

重大な不利益
 見逃せないのは、六カ月で得られていた資格が十二カ月になることで、重大な不利益を受ける人が出てくることです。

 これまで自己都合の離職であっても、結婚して通勤できないところへ転居したり、家族の介護をしなければならなくなったなど正当な理由がある場合は、給付制限はありませんでした。

 それが受給資格が延長されると、正当な離職理由があっても、資格期間が足りなくなって、基本手当を受けられなくなる人が出てきます。

 厚労省は「省令で手当てしていく」(柳沢厚労相)としか答えられず、衆院では審議が一時中断する事態になりました。

 それだけではありません。自動車工場で働く期間工など、一年に満たない短期契約で働く有期労働者の場合も問題です。

 有期労働者はその企業にとって恒常的に必要とされる基幹的な労働力なのに、いつでも辞めさせることができるように、細切れの短期契約にしているのが実態です。

 そのため労働者が働きたくても最初から更新など予定されておらず、生産計画によって雇用期間が延長(更新)されることがあるのが通例です。

 これまでなら、半年働けば受給資格が得られ、ハローワークに行って、受給申請と再就職相談ができました。しかし、改悪によって手当もなくほうりだされかねない事態になってしまいます。

有期労働者は
 厚労省は、契約更新が明示されていたのに一年未満で契約更新されなかった場合に限って、「解雇・倒産と同じように資格要件は六カ月にする。契約更新は口頭約束でもかまわない」と答えました。これは当然のことですが、受給できなくなる有期労働者が出てくることには何ら対策をとる考えを示しませんでした。

 雇用保険は、多くの失業者がセーフティーネットからはじき出され、不安定雇用に就かざるをえなくなった結果、労働者の五人に一人(公務員など適用除外者を除く)、約一千万人が雇用保険に入っていないという空洞化が起こっています。今回の改悪はこの空洞化にますます拍車をかけることになりかねません。

 日本共産党の小池晃参院議員は二十七日の参院厚生労働委員会で、雇用保険に入れないということは生活保障ばかりか、能力開発や教育訓練も受けられなくなり再就職の権利まで奪われることになると指摘し、「安倍内閣は『再チャレンジ』といいながら、やっていることは『再チャレンジ』の権利を奪うことだ。雇用保険の改悪は撤回すべきだ」と強調しました。
posted by siinoki at 06:58| Comment(2) | TrackBack(7) | 法律相談・労働相談
この記事へのコメント
ひどい改悪案です。人権無視の劣悪な職場環境が原因で職場を離脱するほかない青年労働者の実態を無視したものです。人格を失って動物のようになるか、失業か。どちらを選択しても基本的人権が守られない実態を、政府が放置することは怠慢以外の何者でもありません。
いまの青年労働者の要求は、「職場に定着したい」というものだと思います。ここには、安定した収入を得たいという願いがこめられているとともに、職場の人間関係にきちんと組み込まれたいという願いもあると思います。今回の改悪案が、青年労働者のこれらの願いをかなえるとはとても思えません。政府が取るべき政策は、労働者が働き続けられるように、企業に雇用責任を「押し付ける」ことではないでしょうか。
労働者が働き続けるためには、職場に定着し受け入れられていく、溶け込んでいく術を身につけていくことが不可欠だと思います。「術」といっても、いま流行の「スキル」などではなく、(周りが許容してくれる程度に仕事をこなせるといった技能もさることながら)約束の時間を守ったり、上司や同僚ときちんとコミュニケーションをとったりといった労働者の作法のようなものです。そして、それは学校教育の中ではなく、労働の現場でのみ身につけられるものであり、また時間をかけて獲得されるものだと思います(たぶん労働者的人格も同時に獲得されるのでしょう)。ところが、青年労働者の少なくない部分は、短期間の間に就職=離職を繰り返しているため、定着していくための「術」を身に着けていくことができません。この状態のまま、齢を数えている青年(中年?)労働者も増えているように思います。労働者が労働者として生きていくために必要なものを獲得できていないことは、すでに基本的人権が保障されていないといっても過言ではないと思います。いま必要なのは、「壊れるまで働き続けるか、辞めるかのどちらか選べ」という脅しではなく、働き続けられる確かな保障です。働き続けられる保障を企業に約束させることです。なお、漂流型=非定着型の労働者が増えていくことは、企業側にとって労務管理上多くの困難を抱え込むことにつながることを言い添えておきたいと思います。
Posted by やまとちょう at 2007年04月03日 23:01
やまとちょうさん、コメントありがとうございます。青年人口の多い地元の中野で労働運動の組織をつくりましょう。
Posted by siinoki-law at 2007年05月24日 23:14
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス: [必須入力]

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/3645524
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック

企業経営と労働組合運動
Excerpt:  労働問題をすべて解決するには勤労者が労働組合の必要性・正当性・限界性に対する基本認識を固めた上で、労働運動を政治闘争へ発展させるしかない。基本認識が固まれば、あとは技術論となって専門化・細分化し複雑..
Weblog: 未来を信じ、未来に生きる。
Tracked: 2007-04-04 02:05

不安定雇用と労使関係と消費者
Excerpt:  ?「『闘って会社の出す条件を変える』のも、『より条件のよい会社に転職する』のも、自分の為に自分が選ぶ事であり、経営者に利する為のものではありませんが。」 観念的にはそうですね。しかし、事実上は、会..
Weblog: 未来を信じ、未来に生きる。
Tracked: 2007-04-04 02:05

労使関係と生活向上
Excerpt:  ?「労働者が終身雇用か、そうでないかを決める選択権を持つというならば中立です。経営者が一方的に終身雇用制を止めると言い出しているのです。今の非正規雇用の増大に示されています」 「しかし、事実上は、..
Weblog: 未来を信じ、未来に生きる。
Tracked: 2007-04-04 02:06

まだすべてではない
Excerpt: 思い浮かべてみましょう あなたの大事な人のことを あの人はまだこの映画のチケットが ろくでもないものだと気付いていない じっくり考えてみてください あなたの周囲に そういう方が 必ずいらっしゃる
Weblog: そいつは帽子だ!
Tracked: 2007-04-06 20:03

東京都知事選挙と、新銀行東京。
Excerpt:  こんばんは。精神科医・作家のN氏は自身のホームページで、東京都知事選挙について、次のように論じています。 「いつの間にか、知事、県議、などの選挙が行われていますが、都知事選の進みぐあいに、歯がゆい..
Weblog: 右近の日々是好日。
Tracked: 2007-04-07 00:35

損害保険
Excerpt: 損害保険
Weblog: 損害保険
Tracked: 2009-06-17 20:43

損害保険
Excerpt: 損害保険
Weblog: 損害保険
Tracked: 2009-07-12 12:44