2012年09月27日

未払残業代の請求のための手続(労働事件)

 未払残業代の請求をしようとする場合に、通常訴訟、労働審判のいずれの手続を利用するかが問題となります。

 残業代の支払を怠った使用者には、労基法上、労働者の請求により、未払残業代と同額の付加金を支払うべきことが定められています(労基法114条)。この付加金は、労働者の請求により、裁判所が支払を命ずることによって初めて発生するものとされており、付加金の支払いを命ずるか否かは裁判所の裁量に委ねられています。

 また、労働審判における審判委員会の審判は裁判所の判決とは異なるため、労働審判によって付加金の支払を命じることはできないと解されています。

 そこで、使用者側の悪質性等から付加金の請求が認められそうで、判決までに少々時間がかかっても構わないと労働者側が考えている事案や、「管理監督者」に該当するか否かなどの点で対立があり労働審判での妥協は望めないような事案では、最初から通常訴訟を提起することになります。

 それ以外の事案では、労働審判を利用することになります。
 例えば、労働審判の申立以前に、訴え提起前の当事者照会を利用するなどして、使用者側からタイムカードの写しを開示させるなどして、早期に実労働時間について争いがない状態にすることは可能なので、労働審判の3回以内の期日でも、十分に残業代について明確にすることは可能です。

 なお、労働審判によって残業代を請求する場合においても、申立の趣旨には、付加金を請求する旨を明記しておきます。労働審判事件が訴訟に移行した場合には、労働審判手続の申立てのときに訴えの提起があったものとみなされ、労働審判手続申立書が訴状とみなされることから、労働審判手続申立書に付加金の請求を記載しておけば、労働審判手続が訴訟に移行した場合には、労働審判手続の申立ての時点において付加金の請求をしていたものとみなされ、除斥期間との関係では、違反のあったときから労働審判手続の申立てのときまでが2年以内であればよいということになり、この点に利点があると考えられる(「労働事件審理ノート」第3版106頁)からです。
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