質問
運送業の会社に勤めていますが、いわゆる名ばかり管理職として取り扱いされており、残業代が支払われていません。
給与は基本給、管理職手当、役職手当、地域手当からなります。総額で手取り月約40万円です。就業規則上の所定労働日数は月21日となっています。
現実は朝から晩まで平均月25日勤務、月約320時間程度勤務しています。
タイムカードなどのコピーはここ6ヶ月程度とっていますが、それ以前の分は、とびとびで4か月分を保管しています。
答え
労働基準法上、「監督若しくは管理の地位にある者」(管理監督者)には残業代を支払わなくてもよいこととされていますが、管理監督者に該当するか否かの要件は厳格に解釈されています。会社内で「管理職」と扱われていること=「管理監督者」ではありません。
労働基準法上の管理監督者とは、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的立場にある者をいうとされています。その判断にあたっては、職務の内容、権限、責任、出退勤についての自由度、その地位にふさわしい処遇がなされているかなどを考慮して、労働時間法の適用がなくても労働者保護に欠けることがないといえるか否かを実態に即して判断します。
課長職で出退勤の自由がなく、手取り月約40万円の給料であれば、管理監督者ではないでしょう。
賃金請求権の時効期間は2年ですから、請求から遡って2年間分の残業代の支払いを得ることができます。
タイムカードは会社が保存しているはずです。
月の所定労働時間が21日×8時間=168時間でしょうから、320時間−168時間=142時間が月あたりの残業時間ということになりそうです。
基本給、管理職手当、役職手当、地域手当の全てが平均賃金の算定にあたって算入されるとすると、40万円÷168時間=2380円が時間当たり平均賃金ということになります。
そうすると、月あたりの残業代は、2380円×1.25×142時間=422450円、2年間の残業代は422450円×24か月=10138800円ということになります。
実際はそこまでうまくいかないかもしれませんが、弁護士に依頼して労働審判か訴訟提起をすることをおすすめします。
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しいの木法律事務所 弁護士 八坂玄功
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2012年10月25日
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