2013年05月07日

長時間労働やパワハラ等、業務に起因する可能性のある精神疾患の相談について(労働相談)  

 2006年中に全国で労災認定された労働者の内、205件がうつ病などの精神障害によるものでした。その内、自殺(未遂を含む)が66件だったので、2006年は、精神障害(自殺を除く)が労災認定された件数が初めて100件を超えた年ということになります(205件-66件=139件)。
 その後、精神障害の労災認定基準の見直しなどがありましたが、うつ病などの精神障害による労災認定(自殺を除く)の数はあまり伸びていません。
 2011年中の支給決定件数は138件です(308件−自殺170件)。
 申請件数が伸びているとはいえまだまだ少ないのが原因の一つだと思います。
 例えば、精神科の医師の診察を受けた際にその場で労災申請をできるようにするなど、本来労災が認められるべき人がきちんと救われるような制度が必要ではないかと思います。

 厚生労働省のホームページの発表資料↓
 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001f1k7.html
 http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/05/h0516-2.html

このブログの関連する記事
 うつ病発症5年後の労働災害申請↓
 http://siinoki-law.sblo.jp/article/1732615.html

 長時間労働やパワハラ等、業務に起因する可能性のある精神疾患の相談について
 うつ病等の病気を発症して勤務できなくなったので使用者の責任を問いたいという法律相談をしばしば受けます。
 相談者が病気になった理由は、長時間過密労働を強いられたとか、執拗な退職勧奨を受けたとか、社長や上司からパワーハラスメントを受けた、等さまざまです。私の対応も相談内容に応じて様々ですが、共通してお答えすることが多い内容をまとめてみました。

質問 会社の責任を問うことができるでしょうか
回答 
 まず労災保険上の労働災害として認められる可能性があるかそうでないかを検討すべきです。

 1 労働災害として認められるかどうか
 医師の判断とうつ病発症に至る事実経過をもとに、あなたが業務に起因してうつ病を発症しそれによって就労不能となっていることを証明する必要があります。「業務起因性」の判断基準として、厚生労働省は、1999年に「精神障害に係る業務上外の判断指針」(厚生労働省ホームページ)を明らかにしています。その後、上記指針を見直して、2011年に「心理的負荷による精神障害の認定基準について」(平成23年12月26日付け 基発1226第1号)を明らかにしています(酷い態様のパワーハラスメントを業務起因性の要素として重視する方向等での見直しがなされています)。発病前6ヶ月の間の出来事を、上記指針に基づいて整理してみてください。

 うつ病発症が労働災害として認められた最近のケースが、しんぶん赤旗2006年9月25日付で紹介されていました。

 2006年度、精神疾患(自殺及び自殺未遂を除く)で労災支給決定に至った件数は139件と、初めて100件を超えました。その後も100件台で推移しており、あまり伸びていません。↓


 2 労働災害として認められる可能性のあるケースであれば、労働基準監督署への申請を先行して行います。
 労働災害として認められれば、労災保険で基礎的給与の8割が支給されます。 労災給付のうち基礎的給与の6割部分が損益相殺の対象になるので、6割を超える部分については、損害賠償請求や会社の制度に基づく請求で、会社に支払を求めることができる場合があります。

 3 労働災害として認められるかどうか判らないが、不当な解雇を伴うとか、長時間残業の未払い残業代があるとか、退職勧奨やパワーハラスメントが公序良俗に反する違法行為であることが明らかな場合は、労働災害としての申請を行いつつ、又は労働災害としての申請は保留しつつ、労働審判、通常の訴訟、場合によっては労働局のあっせん等の手続で損害賠償や未払い賃金・残業代の請求を行います。 

 4 労働災害ではなく私傷病として、健康保険法99条に基づく傷病手当金(基礎的給与の6割)の支給を受ける選択肢も考えられます。受給期間は最大1年6ヶ月です。医療費等に対する公的な援助制度も積極的に利用してください。

 5 個人的にたたかうだけではなく、労働組合から支援してもらい団体交渉によって損害の補償や将来の労働条件の改善を要求することが有効でしょう。最近では、一人で加入することを気軽に受け入れてくれる労働組合が数多くあります。


質問 弁護士に相談したいのですが、どのような準備が必要ですか。
回答 上記の厚生労働省の指針を参考にして、発病前6ヶ月を中心とする期間の出来事を整理してみてください。発病前6ヶ月間が加重な長時間労働であったことを指針はかなり重視しています。タイムカードの写しや業務に使用していたパソコンのアクセス記録などで、長時間労働を客観的に証明することができるといいですね。相談の際に同席していただける家族や友人や同僚の方がいたらどうぞ同席してください。


質問 弁護士への相談や手続の費用はどれくらいかかりますか。
回答 相談については、30分5250円が標準的な弁護士費用です。しいの木法律事務所は、初回(30分程度)の相談料は無料としています。弁護士に代理人として訴訟などを依頼する場合は、別途契約に基づく費用をいただきます。
 標準的な弁護士費用は、着手金として、訴えの利益(解雇の場合であれば年収を基準とする)の8%、報酬金として得られた利益の10%〜20%等となっています。
 相談者の生活状況によっては、民事法律扶助を利用して弁護士費用(着手金)と手続に必要な実費の一部を立て替えてもらうことができます。法律扶助の利用が可能か否かは、家族構成や収入を証明する資料を持参して弁護士か日本司法支援センター(法テラス)に相談してください。

質問 弁護士に相談するにはどこで相談すればよいですか。
回答 下記の相談窓口をご紹介します。当事務所でも相談を受けています。

 日本労働弁護団 http://homepage1.nifty.com/rouben/top.htm
  電話相談 火・木の午後3時から6時
       03−3251−5363

 東京の弁護士会の法律相談センター http://www.horitsu-sodan.jp/

 日本司法支援センター(法テラス) http://www.houterasu.or.jp/

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posted by siinoki at 13:46| 法律相談・労働相談