2013年05月09日

保佐人から負担付贈与の同意を得ることは難しいのでしょうか(高齢者・障がい者の財産管理)

質問
 義母(妻の母)と昨年から同居していますが、妻の兄弟より「後見人の申し立て」がなされ家庭裁判所の審判で年内に保佐人が選任される予定です。義母は認知症の初期との事です。
 義母は、老人介護施設へ入所したくなく私たち夫婦から家の中で面倒を見てもらうことを希望しています。その代わりに、私に財産を贈与したいという意向を持っていました。
 家庭裁判所から選任される弁護士の保佐人には民法第13条に規定する行為についての同意権が与えられるのかと思いますが、面倒を見るという負担付贈与の場合でも同意権を得るのは難しいのでしょうか。
 義母の認知症の程度は、保佐人がつくといっても、長谷川式認知スケールでは26とか27を最近も取っており同居している私たちから見ると「判断能力が著しく不十分」と思えない状態です。

答え
 被後見人が特定の相続人に有利な遺言をすることも一定の条件で認められていますから、被保佐人が負担付贈与契約をすることに法律上の障害はありません。
 もっとも、その負担付贈与は民法13条1項3号の重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為であり保佐人の同意を要します。負担付贈与が真に被保佐人の意思に基づくものであることを保佐人に理解してもらって同意を得るために、契約は慎重になす(例えば、契約書は保佐人の面前ですべて被保佐人に自書してもらうとか)必要があります。

 なお、被保佐人が遺言を作成することは、保佐人の同意なしに単独でできます。


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posted by siinoki at 08:17| 法律相談・労働相談