2013年11月06日

支払う義務のない法外な借地更新料を請求されて困っている借地人が多い

 最近、昭和20年代や30年代頃に契約された古い借地契約が、二度目や三度目の更新の時期を迎えているようです。
 土地の更地価格の●●%等の法外な「更新料」を請求されているという相談をしばしば受けます。その内の多くのケースでは、更新料を支払う義務が全くないもののように思われます。
 
 「更新料」とは、賃貸借契約の期間が満了して契約を更新するにあたり賃借人から賃貸人に支払われる金銭のことを言います。
 しかし、この「更新料」は法律で定められたものではありません。
 また、社会的に、「更新料」を支払うのが当然であるという慣習も存在しません(最高裁昭和51年10月1日判決)。
 したがって、借地契約に「更新料」支払の義務が特に定められている場合でなければ、更新にあたって借地人が「更新料」を支払う義務はありません。

 また、借地契約書上に仮に「更新料」についての定めがあったとしても、その具体的な金額や金額の算出式が契約書で具体的に定められているケースを見たことがありません。
 「更新料」の金額や算出方法が契約上具体的に定められていない場合、「更新料」の支払義務があると判断される可能性があるとしても、その金額は当事者間での協議や第三者機関の仲裁などによって定められることになります。
 地主から請求された一方的な金額や一方的な算出方法による「更新料」を納得できないまま支払う必要はありません。

 さらに、仮に契約書上「更新料」支払義務が定められていたとしても、「合意更新」ではなく「法定更新」の場合にまで契約上の規定が適用されるか否かについては、争いがあります。
 (契約書上の)「更新料」の支払義務は、法定更新の場合には生じないとの見解が有力です(借地法に反する借地人に不利な特約は無効とされるべきであることなどが根拠とされる。東京地裁昭和48年1月27日判決、東京地裁昭和51年9月14日判決、東京地裁昭和59年6月7日判決)。

 ところで、先日、借「家」契約の更新料支払義務が有効(消費者契約法に違反しない)との判決が出ました。
 地主の中には、この判決を、借地契約の更新料の支払義務を認めたものであるかのように偽り、善良な借地人を騙して法外な更新料を請求する悪徳・強欲な者が出るかもしれません。
 借地人・借家人が自らの権利と生活を守るためには、正確な法的知識が必要です。

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posted by siinoki at 13:19| 法律相談・労働相談