2014年05月08日

不当解雇(整理解雇)について争うのに労働審判は適していますか(労働事件)

質問
 先月解雇(整理解雇)されました。
 不当解雇と併せて残業代の請求をするつもりです。
 整理解雇の4要件を明らかに満たしていないと思っています。
 争う手続の選択について調べてみたところ、労働審判は整理解雇には適さないという意見と、不当解雇が認められたら具体的に地位の確認(復職)の代わりに和解金(3ヶ月〜6ヶ月分の給料)などを提示してくれるという意見があり、どうしようかと迷っています。
 また、まずは会社に内容証明などで請求した方がいいのか、それともいきなり裁判などを起こしても構わないのでしょうか。
 会社に請求する場合、地位の確認ということで解雇の無効を訴えると思いますが、その場合、復職するつもりはないので最初から損害賠償(例えば請求した時点までの給料の他に何ヶ月か分の給料の請求)をしておいた方が良いのでしょうか(あるいはそういうことが可能なのでしょうか)。
 もし会社側が不当解雇は認めて復職させると言われたら、その会社に戻るつもりはない場合にはその時点までの給料の請求しかできないものなのでしょうか。

答え
 整理解雇に労働審判が使えないということはありません。金銭解決に至る割合は多いです。

 ただ、偶発的な解雇と違って整理解雇では会社も紛争が裁判所に持ち込まれる覚悟を決めて解雇しているので、労働審判での解決率は低くなる(=通常訴訟に移行する可能性が高くなる)かもしれません。

 内容証明郵便などで復職を求めるのは時間の無駄のように思われます。ただちに労働審判や仮処分や通常訴訟を提起した方が、最終的に解決する時期が早くなると思います。

 労働者が請求できるのは、解雇権濫用によって解雇が無効とされることによる地位の確認ですから、会社が復職を求めれば復職しなければなりません。会社が復職を求めているのに復職しないというわけにはいきません。そのようなケースはまれですから、復職してほしいと言われたらまれなケースにあたってしまったとあきらめて復職してください。

 解雇権濫用にあたる無効な解雇ということと、それが不法行為にあたり損害賠償責任を生じさせるということとは区別される問題です。

 解雇が無効であれば労働者としての地位があり会社に対しては給料の支払いを請求できます。
 しかし、不当解雇が不法行為にあたることを立証できても、損害として、毎月定額の給料相当額の損害賠償を請求できるわけではありません。

 弁護士の発想としては、地位確認ではなく損害賠償を請求するというのは損なやり方です。

 残業代の請求も、労働審判によっても通常訴訟によってもいずれでも請求できます。
 ただし、付加金(未払残業代と同額)の支払を命じることができるのは訴訟の判決であり、労働審判では命じることはできないとされています。付加金をどうしても得たい場合には最初から通常訴訟を提起するべきです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
〒165-0027 中野区野方5-30-20 野方三宅ビル2階
しいの木法律事務所 弁護士 八坂玄功
電話 03-5373-1808  FAX 03-5373-1809
Eメール info@siinoki-law.jp  http://www.siinoki-law.jp/
posted by siinoki at 07:21| 法律相談・労働相談

2014年05月07日

犯罪被害者のための弁護士の業務



 犯罪被害者保護法・刑事訴訟法上の犯罪被害者参加制度などを利用して、犯罪の被害に遭われた方の支援のために、下記のような業務を弁護士が行うことができます。
 
 資力が一定基準以下の方は、犯罪被害者法律援助(「委託援助業務」=日弁連の事業を日本司法支援センターに委託して行っている業務)や、国選被害者参加弁護士制度を利用することもできます。

 詳しくは、しいの木法律事務所、各地の弁護士会の犯罪被害者相談窓口、日本司法支援センターなどにお問い合わせ下さい。

犯罪被害者法律援助
 犯罪被害者等(生命、身体、自由又は性的自由に対する犯罪及び配偶者暴力、ストーカー行為による被害を受けた者又はその親族若しくは遺族が対象)が刑事告訴を弁護士に依頼する場合などが、援助の対象です。
 援助活動の結果示談等が成立して現実に利益が得られた場合以外は、援助された弁護士費用は償還不要(給付)と考えて差し支えありません。


犯罪被害者参加制度
犯罪被害者参加制度により、下記の刑事事件の被害者や被害者の遺族、被害者の心身に重大な故障がある場合の被害者の家族は、刑事事件の手続に直接関与することができます。
(1)故意の犯罪行為により人を死傷させた事件(殺人、傷害、危険運転致死傷など)
(2)強制わいせつ(刑法176条)、強姦(刑法176条)などの性犯罪
(3)業務上過失致死傷罪、自動車運転過失致死傷罪(刑法211条)などの犯罪
(4)逮捕・監禁罪(刑法220条)
(5)略取・誘拐・人身売買に関する犯罪(刑法224条〜227条)
(6)上記事件の未遂罪

犯罪被害者参加人制度による被害者参加人は、自ら、又は弁護士に委託して、下記のようなことを行うことができます。

(1)公判期日への出席(刑事訴訟法第316条の34)
 被害者参加人(又はその委託を受けた弁護士)は、法廷の中に入り、検察官の近くに座って審理に参加することができます。

(2)証人尋問(刑事訴訟法第316条の36)・被告人質問(刑事訴訟法第316条の37)
 被害者参加人(又はその委託を受けた弁護士)は、検察官の証人尋問や被告人質問について、意見を述べることができます。
 被害者参加人(又はその委託を受けた弁護士)の意見に基づく尋問・質問を検察官がしない場合は、尋問・質問事項を明らかにして、検察官に対して証人尋問や被告人質問をすることを申し出ることができ、裁判所が相当と認めたときは、申し出た者が直接尋問・質問することができます。

(3)被害者等の意見陳述(刑事訴訟法第292条の2)
 被害者やその遺族等は、被害感情や処罰感情などの情状に関する意見を陳述することができます。

(4)事実又は法律の適用についての意見陳述(刑事訴訟法第316条の38)
 被害者参加人(又はその委託を受けた弁護士)は、起訴された事実の範囲内で、事実及び法律の適用に関する自己の意見(検察官の論告・求刑と同様のもの)を述べることができます。

(5)付添や遮蔽など、参加しやすくするための措置(刑事訴訟法316条の39)
 裁判所は、被害者参加人の年齢、心身の状態その他の事情を考慮して、付添人を付き添わせることができます。
 裁判所は、被害者参加人の年齢、心身の状態、被告人との関係その他の事情を考慮して、被害者参加人の状態が被告人から認識されないようにするための措置をとることができます。傍聴人との間についても同様です。


国選被害者参加弁護士制度があります

 資力が一定基準以下の被害者が被害者参加制度を弁護士に委託して利用したい場合には、国選被害者参加弁護士の選定を求めることができます(犯罪被害者保護法5条)。
 選定の請求は、日本司法支援センター(「法テラス」)に対して行います。
 日本司法支援センター(「法テラス」)は、国選被害者参加弁護士の候補を指名して裁判所に通知しますが、この指名をするにあたっては、被害者の意見を聞かなければならないとされています(犯罪被害者保護法6条)。例えば、捜査段階で犯罪被害者法律援助を利用して当該被害者を支援した弁護士が、日本司法支援センター(「法テラス」)との間で契約をしている弁護士であれば、その弁護士を指名するように被害者から求めることなどができます。

 日本司法支援センター(「法テラス」) 
 「犯罪被害者の方のための新しい制度」 


犯罪被害者保護法により、公判記録の閲覧謄写ができます
 犯罪被害者、被害者の遺族、被害者の心身に重大な故障がある場合の家族は、第1回公判期日後、損害賠償請求権の行使のために必要があると認められる場合その他正当な理由のある場合に、公判継続中の訴訟記録の閲覧及び謄写ができます(犯罪被害者保護法第3条)。


民事上の争いについての刑事訴訟手続における和解(犯罪被害者保護法13条)
 公判継続中に、被告人と被害者との間で損害賠償等について示談が成立した場合に、その内容を調書に記載することにより、民事裁判上の和解と同様に、債務名義となり執行力を有するという制度が利用できます。


損害賠償命令制度(犯罪被害者保護法17条)
 下記の犯罪被害にあった被害者や被害者の相続人は、刑事事件の裁判所に申立書を提出して、損害賠償命令の申立をすることができます。
(1)故意の犯罪行為により人を死傷させた事件(殺人、傷害、危険運転致死傷など)
(2)強制わいせつ(刑法176条)、強姦(刑法176条)などの性犯罪
(3)逮捕・監禁罪(刑法220条)
(4)略取・誘拐・人身売買に関する犯罪(刑法224条〜227条)
(5)上記事件の未遂罪

 刑事被告事件について有罪の判決があった場合、裁判所は、損害賠償命令の申立についての審理を行います。審理は原則として4回以内で行われ(犯罪被害者保護法24条)、損害賠償を命じる決定がなされます。
 
 決定に対して、適法な異議申立がなされた場合には、損害賠償命令の申立時に通常の民事裁判の訴えの提起があったものとみなされて、民事裁判が開始されます(犯罪被害者保護法27・28条)。また、4回以内の審理期日で終結することが困難な事件の場合は、裁判所の職権によって民事裁判に移行することになります(犯罪被害者保護法32条)

原告の住所を表示しなくても民事裁判を起こせます
被害者の方から、民事訴訟を起こすと自分の住所を犯人に知られてしまうのが怖いという心配を聞くことがありますが大丈夫です。
最高裁判所が全国の裁判所に通達を出しており、犯罪被害者が訴訟提起する場合は連絡先として代理人弁護士の事務所住所だけを記載すれば良いとされています。この通達は訴訟だけでなく訴え提起前の和解にも適用されます。

犯罪被害者等給付金制度の利用ができる場合もあります。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
〒165-0027 中野区野方5-30-20 野方三宅ビル2階
しいの木法律事務所 弁護士 八坂玄功
電話 03-5373-1808  FAX 03-5373-1809
Eメール info@siinoki-law.jp  http://www.siinoki-law.jp/
posted by siinoki at 12:53| 法律相談・労働相談

夫の不倫が原因で離婚する場合、どのようなことを決めておくべきでしょうか(離婚)



質問
 夫が不倫をしていたことがわかったため離婚するつもりです。
 夫は、34カ月の婚姻期間中婚姻後9か月目から25か月間同じ相手と不倫を続けていました。不倫が始まったのは、私の妊娠発覚直後からでした。不倫が始まって3か月の頃に一度発覚し、夫は関係を断ち切ると約束し、誓約書にその旨を署名捺印しましたが、それは嘘で関係を続けていました。不貞行為の頻度は月に1〜2回程度です。夫の年収は500万円から600万円です。不倫相手には未婚者と偽って交際していました。今回、不倫相手にも既婚者だとばれて調停を申し立てられ夫が慰謝料を100万円支払うことで調停を終わらせています。

 離婚するに際して公正証書を作成して慰謝料の支払いについて決めておきたいのですが、相場はどのくらいでしょうか。また、慰謝料以外に決めておくべきことはどのようなことでしょうか。

答え
 裁判で認められる慰謝料は300万円程度だと思います。
 もちろん、当事者同士の合意が成立するのであれば、500万円でも何も問題はありません。
 つらい思いをなさったと思いますが、裁判例の「相場」は悪質性が高い場合が300万円程度です。300万円を超えるような事例もありますが夫の年収が非常に高い場合とか悪質性が際立って高い場合などに限定されていると思います。
 合意する際には強制執行認諾文言付きの公正証書を作成するか、離婚調停で調停を成立させるかしておかないと、慰謝料の支払い等が履行されない場合の強制執行が直ちにはできません。

 慰謝料以外に決めておくべきこととしては、親権、養育費、財産分与、非監護親の子供との面会、年金分割があります。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
〒165-0027 中野区野方5-30-20 野方三宅ビル2階
しいの木法律事務所 弁護士 八坂玄功
電話 03-5373-1808  FAX 03-5373-1809
Eメール info@siinoki-law.jp  http://www.siinoki-law.jp/
posted by siinoki at 08:39| 法律相談・労働相談

2014年05月06日

自営業の夫が亡くなりました。寄与分は認められますか(相続・遺産分割)

質問
 個人自営業の夫が他界しました。
 配偶者である私は、26年間の労務の提供をし、そのうち15年は自宅で夫の療養看護にあたりました。
 相続の際、どれ位の寄与分が認められますか?

回答
 寄与分の計算方法について法律では細かいルールは定められていません。
 個人自営業の夫を助けて営業に専従していたのに賃金が全く支払われていない場合、裁判所は、寄与の程度を3割〜5割程度と大雑把に評価することもありますし、賃金相当額を計算して評価することもあります。
 妻に賃金が支払われていた場合は、寄与分が全く認められない場合もあります。
 療養看護の寄与分は、介護保険利用料や付き添い人を雇っていたとしたら要した費用を参考にして、1日あたり数千円の計算で寄与分が認められる可能性があります。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
〒165-0027 中野区野方5-30-20 野方三宅ビル2階
しいの木法律事務所 弁護士 八坂玄功
電話 03-5373-1808  FAX 03-5373-1809
Eメール info@siinoki-law.jp  http://www.siinoki-law.jp/
posted by siinoki at 10:47| 法律相談・労働相談

特別受益が認められるのはどのような場合ですか(遺産分割)


 特別受益の類型には、次のようなものが考えられます。

1)遺贈(民法903条)
2)婚姻または養子縁組のための贈与(民法903条)
3)生計の資本としての贈与(民法903条)
 生計の資本としての贈与に当たるか否か、しばしば問題になるものとして、次のようなものがあります。
 @学資
  学資も高等教育を受けるために支出した費用は特別受益にあたる場合がありますが、近年では高等教育が一般化しているため、親の扶養の範囲と認められる場合には特別受益にあたらない、あるいは相続人全員が同程度の高等教育を受けているような場合には持戻免除の意思表示があったと判断される場合があります。
 A不動産の贈与
 B生命保険
  生命保険について、最高裁平成16年10月29日判決は、「被相続人を保険契約者及び被保険者とし、共同相続人の一人又は一部の者を保険受取人とする養老保険契約に基づき保険金受取人とされた相続人が取得する死亡保険金請求権は、民法903条1項に規定する遺贈又は贈与に係る財産には当たらないが、保険金の額、この額の遺産総額に対する比率、保険金受取人である相続人及び他の相続人との関係、各相続人の生活実態等の諸般の事情を総合考慮して、保険金受取人である相続人とその他の相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合には、同条の類推適用により、特別受益の持戻しの対象となる」と、原則として特別受益とはならないと判断しています。
  特段の事情があるとして特別受益性を認めた裁判例に、東京高裁平成17年10月27日決定(家月58巻5号94頁)、名古屋高裁平成18年3月27日決定(家月58巻10号66頁)があります。
 C死亡退職金
  死亡退職金は遺産の前渡しと評価することは困難で、生命保険以上に、特別受益と評価することは難しいと考えられます。
 D借地権の承継や設定、相続人が底地権相当額で借地(底地)を買い受けた場合など
  審判例として東京家裁平成12年3月8日審判(家月52巻8号35頁)、東京地裁平成20年10月9日判決(判時2019号31頁)があります。
 E遺産の無償使用
  遺産である土地の上に相続人の一人が被相続人の許諾を得て建物を建て、その土地を無償で使用している場合は、使用借権が設定されている土地と評価し、使用借権相当額(更地価格の1〜3割)が特別受益と評価されるのが普通です。
  但し、場合によっては、使用借権負担による減額(使用借権相当額の特別受益の評価)を行わずに土地を更地価格で評価することもあります(土地を使用している相続人が当該土地を取得する遺産分割を成立させるような場合)。
  裁判例として、福岡高裁昭和58年2月21日決定(家月36巻7号73頁)、東京地裁平成15年11月17日判決(判タ1152号241頁)などがあります。
 F建物の無償使用
  被相続人の建物に相続人の一人が無償で居住していた場合、賃料相当額が特別受益となるという考え方と、土地の使用借権と比べると経済的価値が乏しいことなどを理由に特別受益にあたらないとする考え方とがあります。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
〒165-0027 中野区野方5-30-20 野方三宅ビル2階
しいの木法律事務所 弁護士 八坂玄功
電話 03-5373-1808  FAX 03-5373-1809
Eメール info@siinoki-law.jp  http://www.siinoki-law.jp/
posted by siinoki at 10:46| 法律相談・労働相談

2014年05月05日

名誉棄損について違法性阻却事由が認められる場合に、同じ行為についてプライバシーの侵害が違法とされることはありますか。

質問
 名誉棄損については、真実性の抗弁・相当性の抗弁等の違法性阻却事由が認められていますが、同じ行為についてプライバシー侵害を問題にした場合にも、プライバシー侵害が違法ではないとされる場合がありますか。

回答
 プライバシー侵害については、刑法230条の2第1項のような明文の規定がないので、違法性阻却が認められにくいという面があるかもしれません。
 違法性が阻却される範囲はプライバシー侵害の方が名誉毀損よりも狭くなる場合も生じるのではないかと思います。
 しかし、プライバシー侵害についても、被侵害利益の性質と侵害行為の態様との相関関係などによって違法性の有無を判断すべきと考えるのが通説です。本人の推定的同意や受忍限度、公益の優越といった観点が考慮されます。なんでもかんでも形式的に判断してプライバシー侵害にあたるとされるわけではありません。

 参考となる裁判例として、最判平成元年12月21日民集43巻12号2252頁があります。
 同最判は、公立小学校の教師に対する批判ビラに、 教師の氏名・住所・電話番号等を記載し、かつ、有害無能な教職員等の表現を用いた大量のビラを繁華街等で配布した場合において、右ビラの内容が、一般市民の間でも大きな関心事になつていた通知表の交付をめぐる混乱についての批判、論評を主題とする意見表明であつて、専ら公益を図る目的に出たものに当たらないとはいえず、その前提としている客観的事実の主要な点につき真実の証明があり、論評としての域を逸脱したものでないなど判示の事実関係の下においては、右配布行為は、名誉侵害としての違法性を欠くとした事例です。
 この判決は、名誉棄損に基づく請求は棄却しましたが、教師らの「私生活の平穏などの人格的利益」が違法に侵害されたとして、教師らの請求を一部認めています。ビラに教師個人の住所等の個人情報を掲載することによって、教師やその家族が自宅に直接抗議などを受けることになるであろうことをビラの発行者は予想できたのであるから、実際に自宅に直接抗議などを受けることによって受けた私生活の平穏などの人格的利益の侵害についてビラの発行者に責任があるというような判断をしています。
 「私生活の平穏などの人格的利益」の侵害は、プライバシー侵害そのものではありませんが、それと重なる面があると思います。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
〒165-0027 中野区野方5-30-20 野方三宅ビル2階
しいの木法律事務所 弁護士 八坂玄功
電話 03-5373-1808  FAX 03-5373-1809
Eメール info@siinoki-law.jp  http://www.siinoki-law.jp/
posted by siinoki at 10:55| 法律相談・労働相談

婚姻費用分担で相手の年収がわからない場合(家事事件・離婚)


現在、婚姻費用分担の調停中です。
相手の年収がわからない場合は、婚姻費用を請求するのは難しいのでしょうか。

答え
「相手の年収は○○円を下回らないと推定される」旨を、できるだけそれなりの根拠に基づいて主張して、その金額に基づいて婚姻費用を算定して請求してください。
相手が積極的に収入を主張しない場合は、上記の○○円を基礎に、審判で婚姻費用が算定される可能性が高くなります。 調停段階で安易に妥協しないようにしてください。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
〒165-0027 中野区野方5-30-20 野方三宅ビル2階
しいの木法律事務所 弁護士 八坂玄功
電話 03-5373-1808  FAX 03-5373-1809
Eメール info@siinoki-law.jp  http://www.siinoki-law.jp/
posted by siinoki at 09:44| 法律相談・労働相談

2014年05月02日

離婚した元妻が私との共有の元自宅不動産を勝手に賃貸に出しました(不動産・離婚)



質問
 元妻と私とが共有している元の自宅マンションがあります。
 共有持分は私が8分の7、妻が8分の1です。
 離婚当初、元自宅マンションには妻と子が住んでいましたが、妻と子が実家に引越し、同時に元自宅マンションを私に無断で他人に貸してしまいました。
 不動産仲介会社には離婚している事を告げずに賃貸借契約を進めたようです。
 元妻は、家賃収入を元妻に支払わせようとしています。
 契約の無効主張、貸主を私に変更することなどができるでしょうか。

答え
 賃貸借契約は、共有物の「変更」(民法251条)にあたるとしても、共有物の「管理」(民法252条)にあたるとしても、いずれにしろ、共有者全員の同意又は持分の過半数の賛成が必要です。
 ですから、8分の1の持分しか有していない元妻による賃貸借契約は無効と考えられます。
 賃借人に対して、契約の無効を通知し、居住を継続したければ持分の過半数を有する自分と改めて契約して賃料を支払うように求める(改めて契約しなければ明渡を求める)という方法があります。

民法251条 
 各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。

民法252条
 共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
〒165-0027 中野区野方5-30-20 野方三宅ビル2階
しいの木法律事務所 弁護士 八坂玄功
電話 03-5373-1808  FAX 03-5373-1809
Eメール info@siinoki-law.jp  http://www.siinoki-law.jp/
posted by siinoki at 09:11| 法律相談・労働相談

2014年05月01日

相続放棄すれば債権者からの督促は止まりますか(相続・遺産分割)



質問
 相続放棄について、教えて頂きたいです。
 今回、子どものいない兄が亡くなりました。
 サラ金からの借金が多くあり、資産は見当たらないため、私は相続放棄を終えました。
 今後、サラ金関係からの督促にはどのように対処すれば、よろしいでしょうか。
 弁護士さんに依頼しないといけないのでしょうか。

答え
 相続放棄の申述受理証明書の写しを債権者に送れば督促は止まります。
 ただし、債権者が相続放棄が無効だと考えるような特別の事情がある場合は別です。そのような特別の事情がある場合には、債権者から相続人に対して訴訟などで請求され、訴訟の中で相続放棄の有効性が判断されることになるでしょう。そのような場合はまれです。
 ですから、弁護士に依頼する必要はないことがほとんどです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
〒165-0027 中野区野方5-30-20 野方三宅ビル2階
しいの木法律事務所 弁護士 八坂玄功
電話 03-5373-1808  FAX 03-5373-1809
Eメール info@siinoki-law.jp  http://www.siinoki-law.jp/
posted by siinoki at 12:54| 法律相談・労働相談

2014年04月30日

離婚にともなう財産分与の割合は常に2分の1か

 離婚にともなう財産分与の割合は原則として2分の1と考えられていますが、例外がないわけではありません。

 次のような事例があります。

 ■奈良家裁平成13年7月24日家裁月報54巻3号56頁
  唯一の夫婦財産であるマンションが夫の小遣いを資金として競馬をして儲けた金で購入したものであったという事案で、夫の寄与率が高いと認めて、マンション売却代金の3分の1の分与が相当であるとした。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
〒165-0027 中野区野方5-30-20 野方三宅ビル2階
しいの木法律事務所 弁護士 八坂玄功
電話 03-5373-1808  FAX 03-5373-1809
Eメール info@siinoki-law.jp  http://www.siinoki-law.jp/
posted by siinoki at 19:24| 法律相談・労働相談

2014年04月28日

相続人が過払い金返還請求する場合の訴状の書き方を教えてください(民事訴訟一般・本人訴訟)

質問
 相続人が訴訟する場合の訴状の書き方を教えてください。
 父が亡くなりました。相続人は母と息子と娘(私)です。
 父の消費者金融に対する過払い金が1000万近くあります。
 母が代表で原告となり弁護士を依頼せずに訴訟する予定です。

 通常は訴状の請求の原因は下記のような書き方だと思うのですが、相続人が訴える場合はどのように記載するのでしょうか?
       記
請求の原因
1 当事者
被告は、無担保による消費者金融を主要な業務内容とする貸金業者である。
2 不当利得返還請求
(1)原告は昭和○○年頃、被告との間で金融消費貸借の包括契約を締結し、別紙計算書記載のとおり、継続的に借入及び返済を繰り返してきた(甲1)。
(2)被告開示の取引履歴に基づき、利息制限法に従い計算すると、金○○○万○○○○円の過払いとなっており、原告に同額の損失が発生し、被告が同額の利得を得たことになる。
(3)被告は、貸金業者であるところ、利息制限法に定められた上限利率を超える利息の弁済を原告から受けており、当然にその事を認識していた。従って、被告は、原告に対し、利息制限法による制限利率を超える利息弁済によって生じた不当利得につき悪意の受益者にあたり、その不当利得について、過払金発生時からその支払済みに至るまでの間、利息を付して返還する義務がある(民法704条)。
よって、別紙計算書の計算においては、過払金つまり不当利得金発生時から、同不当利得金に対し、年5分の割合による利息を計上している。
そして最終取引日の平成○○年○月○○日時点での利息金額は○○○万○○○○円となっている。

答え
 「原告は」のところを、「故・○○は」とします。
項目を一つ加えて、
「3 相続及び遺産分割協議
 (1)故・○○は、○年○月○日死亡した。
 (2)故・○○の相続人は、X(妻)、A(続柄)、B(続柄)の3名である(甲●〜●・戸籍謄本等)
 (3)X、A及びBは、故・○○のYに対する過払金返還請求権をXが相続することを合意した(甲●・遺産分割協議書)」などとします。

本人訴訟、がんばってみてください。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
〒165-0027 中野区野方5-30-20 野方三宅ビル2階
しいの木法律事務所 弁護士 八坂玄功
電話 03-5373-1808  FAX 03-5373-1809
Eメール info@siinoki-law.jp  http://www.siinoki-law.jp/
posted by siinoki at 09:25| 法律相談・労働相談

2014年04月27日

相続人の一人が自筆証書遺言書を勝手に開封しました(遺言・相続)



相続の一人が遺言書を勝手に開封しました。遺言書は有効でしょうか。

答え
自筆証書遺言を無断で開封した場合は10万円以下の罰金とされていますが、検認を受けずに開封したことによってただちに無効になるわけではありません。
自筆証書遺言については、検認の手続が必要なので、その際に開示されます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
〒165-0027 中野区野方5-30-20 野方三宅ビル2階
しいの木法律事務所 弁護士 八坂玄功
電話 03-5373-1808  FAX 03-5373-1809
Eメール info@siinoki-law.jp  http://www.siinoki-law.jp/
posted by siinoki at 12:09| 法律相談・労働相談

2014年04月25日

探偵の費用は相手に請求できますか(民事訴訟一般)。


質問
 夫の不倫相手に慰謝料請求する予定です。
 夫とのメール以外に確たる証拠がないので、探偵に調査を依頼するつもりです。
 探偵の費用は不倫相手に請求できますか。

答え
 常に認められるとは限りませんが、不貞関係(不法行為)を立証するために必要な探偵の費用も、損害額の一部として請求が認められることはあります。交通事故損害賠償請求などの場合に、弁護士費用の一部が損害額として認められる(損害額の5〜10%程度)のと同じです。
 訴訟を起こす際には、探偵の費用も請求されると良いと思います。
 「不貞慰謝料請求事件に関する実務上の諸問題」(判例タイムズ1278号45頁)という裁判官の論文には、探偵の費用のうち100万円を認めた事例や、1円も認めなかった事例などが紹介されています。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
〒165-0027 中野区野方5-30-20 野方三宅ビル2階
しいの木法律事務所 弁護士 八坂玄功
電話 03-5373-1808  FAX 03-5373-1809
Eメール info@siinoki-law.jp  http://www.siinoki-law.jp/
posted by siinoki at 07:45| 法律相談・労働相談

2014年04月24日

義父の土地の上に建物を所有しています。義父が亡くなり、相続人である義母と妻の弟から明渡しを求められています(遺産分割)


質問
 私は、妻の父から土地の提供を受け自宅を建築し居住していましたが、その義父が亡くなりました。義理母、妻、その弟の三名が法定相続人です。
これまでの土地の使用について賃料等の支払いはありませんでしたので使用貸借であるものと思います。
最近、妻の弟から土地をどうしたいのか見解を問う旨の内容証明郵便を出す旨妻に連絡がありました。弟は土地を売却し現金に換えたいとの意向を持っているようで、義理母も同調しているようです。
どのように対応するべきでしょうか。

答え
 使用借権の権利の終了時期については、民法に「契約に定めた時期に、借用物の返還をしなければならない」(民法597条1項)、「返還の時期を定めなかったときは、借主は、契約に定めた目的に従い使用及び収益を終わったときに、返還をしなければならない。ただし、その使用及び収益を終わる前であっても、使用及び収益をするのに足りる期間を経過したときは、貸主は、直ちに返還を請求することができる」(民法597条2項)、「使用貸借は、借主の死亡によって、その効力を失う」(民法599条)という規定があります。
 ですから、特に契約で終了の時期を定めなかった場合は、土地上の建物の存続期間中又は借主(建物の所有者である相談者)の死亡のいずれか早い時までは、使用借権は存続します。

 貸主の死亡は使用貸借の終了事由ではありません。ですから、義父の死亡によっては、使用借権は終了しません。

 使用借権には第三者への対抗力がないので、土地が第三者に売られてしまえば、その第三者に対して使用借権を対抗することはできません。しかし、土地がただちに売られる心配はありません(妻が所有者の一人なので)。

 そういうわけですので、義理の弟さんや義母から建物を撤去しろと要求されても、それに応じる必要はありません。

 結局、問題は、使用借権の負担の付いた底地を含む義父の遺産の分割を、義理母、妻、その弟の三名でどのように行うかということになります。

 遺産分割調停が申し立てられるのを待って、調停の場で合意をめざせば良いでしょう。

 弟さんからの内容証明郵便に対しては、「土地を売るつもりはありません。遺産分割協議が必要であれば調停を申し立てるなどしてください」などと、自ら、又は弁護士に依頼して回答するのが良いでしょう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
〒165-0027 中野区野方5-30-20 野方三宅ビル2階
しいの木法律事務所 弁護士 八坂玄功
電話 03-5373-1808  FAX 03-5373-1809
Eメール info@siinoki-law.jp  http://www.siinoki-law.jp/
posted by siinoki at 07:41| 法律相談・労働相談

遺言書と矛盾する財産の処分(遺言・遺産分割)


質問
 遺言書の事で、お聞きします。
 父親が危篤状態になり、母親が父親名義の証券や不動産の名義を母親に変更しているようです。
 しかし、私は、父親から危篤になる前に、遺言書を書いてもらっています。
 父親が生きているうちに、母親、他の相続人に、財産を名義変更されてしまった場合、いくら遺言書があったとしても、遺言書はただの紙切れ同然なんでしょうか。


答え
 遺言者が遺言と矛盾する財産の処分をした場合は、その部分については遺言は撤回されたものとされます(民法1023条2項)。
 つまり、生前の処分の方が、遺言より、優先します。

 お父さんには、実印や登記識別情報等の管理を厳重に行ってもらい、遺言に反する財産の処分を認めないようにがんばってもらうしかありません。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
〒165-0027 中野区野方5-30-20 野方三宅ビル2階
しいの木法律事務所 弁護士 八坂玄功
電話 03-5373-1808  FAX 03-5373-1809
Eメール info@siinoki-law.jp  http://www.siinoki-law.jp/
posted by siinoki at 07:38| 法律相談・労働相談

2014年04月23日

祭祀財産とはなんですか(遺産分割)



 民法は祭祀財産を遺産分割の対象とせず、祭祀主宰者が承継すると規定しています。
 祭祀財産とは、「系譜、祭具及び墳墓」と規定されています。墓地、納骨堂、墓石、墓碑、位牌、仏壇などがこれにあたります。
 祭祀財産を所有する者が死亡した場合には、(1)被相続人の指定によって、(2)指定がない場合には慣習によって、(3)指定もなく慣習によっても明らかでない場合には家庭裁判所の指定によって、祭祀承継者が決められます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
〒165-0027 中野区野方5-30-20 野方三宅ビル2階
しいの木法律事務所 弁護士 八坂玄功
電話 03-5373-1808  FAX 03-5373-1809
Eメール info@siinoki-law.jp  http://www.siinoki-law.jp/
posted by siinoki at 06:50| 法律相談・労働相談

2014年04月22日

遺留分・遺留分減殺請求権とは何ですか(遺産分割)



 遺留分制度とは、被相続人が有していた相続財産について、その一定割合の承継を一定の法定相続人に保障する制度です。本来、被相続人は自己の財産を自由に処分できるはずですが、他方で、相続制度は遺族の生活保障及び遺産形成に貢献した遺族の潜在的持分の清算などの機能を有していることから、民法は、遺留分制度により、被相続人の財産処分の自由と相続人の保護の調和を図ることとしています。

 遺留分の割合は以下の通りです。
 直系尊属のみが相続人である場合 3分の1
 それ以外の場合 2分の1

なお、相続人が兄弟姉妹や兄弟姉妹の代襲相続人である甥姪の場合には、兄弟姉妹や甥姪には遺留分はありません(民法1028条)。

 被相続人が贈与や遺贈を行ったたために遺留分を侵害された相続人は、遺留分減殺請求権を行使することによって、遺留分を確保する限度で、その贈与や遺贈の効力を奪うことができます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
〒165-0027 中野区野方5-30-20 野方三宅ビル2階
しいの木法律事務所 弁護士 八坂玄功
電話 03-5373-1808  FAX 03-5373-1809
Eメール info@siinoki-law.jp  http://www.siinoki-law.jp/
posted by siinoki at 07:42| 法律相談・労働相談

2014年04月21日

親の財産の将来の遺産相続分を差し押さえられることがあるのでしょうか(民事訴訟一般)

質問
 既婚男性と3年前から交際しており、奥さんから500万円を慰謝料請求されました。
 先方は別居して2年半経っています。別居の原因は私との交際だけではなく、性格の不一致もあると思います。
 私はいくらかの慰謝料支払いは覚悟していましたが、500万円もの金額は納得できないし、支払能力もありません。
 友人に相談すると私に支払い能力がない場合は、親の財産に対する将来の遺産相続分を仮差し押えされるとききました。
 親が亡くなった場合に相続される分を強制的に慰謝料の支払いに充当されることがあるのでしょうか。

答え
 「友人に相談すると私に支払い能力がない場合は、親の財産に対する将来の遺産相続分を仮差し押えされるとききました。」とのことですが、誤りです。
 実際に相続が開始する以前に、相続分を仮差押えすることはできません。
 実際に相続が開始した後であれば、相続した財産はあなた自身の財産ですから、それに対して仮差押えなどをすることは可能です。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
〒165-0027 中野区野方5-30-20 野方三宅ビル2階
しいの木法律事務所 弁護士 八坂玄功
電話 03-5373-1808  FAX 03-5373-1809
Eメール info@siinoki-law.jp  http://www.siinoki-law.jp/
posted by siinoki at 08:03| 法律相談・労働相談

2014年04月19日

被相続人が、株式会社の株式、有限会社の出資持分、合名会社の社員権を持っていました。これらは遺産分割の対象になりますか(遺産分割)。



 株式会社の株式(有限会社の出資持分も同じ)は、銀行預金のような可分債権ではありません。
 遺産分割がなされるまでは共同相続人が準共有する状態であり、遺産分割協議、調停や審判によって遺産分割の対象とする必要があります。最高裁昭和45年1月22日判決は、「株式を相続により準共有するに至った共同相続人は、商法203条2項(注・現会社法106条)の定めるところに従い、当該株式につき株主の権利を行使すべき者一人を定めて会社に通知すべき」としており、遺産分割がなされるまでは、その口数にかかわらず、株式(持分)全部について相続により準共有状態となっていることを前提としています。

 持分会社においては、社員の死亡が退社事由となっています(会社法607条1項3号)。そこで、社員が死亡により退社したときは、持分払戻請求権が相続人に帰属します。
 持分払戻請求権の価額は被相続人死亡当時の会社財産の状況に従って計算されるものであること、持分が現物で払い戻されるか金銭で払い戻されるかは会社が決定するものであることを理由に、審判例は、持分払戻請求権は遺産分割前に当然に分割して取得されるものではないと判断しています(東京家裁昭和34年11月19日審判)。したがって、遺産分割の対象とする必要があります。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
〒165-0027 中野区野方5-30-20 野方三宅ビル2階
しいの木法律事務所 弁護士 八坂玄功
電話 03-5373-1808  FAX 03-5373-1809
Eメール info@siinoki-law.jp  http://www.siinoki-law.jp/
posted by siinoki at 10:42| 法律相談・労働相談

2014年04月18日

遺産分割協議書には相続人本人の署名が必要ですか(相続・遺産分割)


質問
 遺産分割協議書を作るとき実印を必要と聞いていますが、名前はすでにワ-プロで印刷したものでも、問題ないのでしょうか。それとも本人が署名することが必要ですか。

答え
 法律上は自署(相続人本人による手書きの署名)でなければならないというルールはなく、記名(ワープロで印刷したもの)に捺印でも可能です。
 しかし、後で真正に成立した遺産分割協議書か否かが問題になりかねないので、自署して実印で捺印してもらい、印鑑証明を添付してもらった方がよいでしょう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
〒165-0027 中野区野方5-30-20 野方三宅ビル2階
しいの木法律事務所 弁護士 八坂玄功
電話 03-5373-1808  FAX 03-5373-1809
Eメール info@siinoki-law.jp  http://www.siinoki-law.jp/
posted by siinoki at 07:37| 法律相談・労働相談